生き物だより No,003

オオスカシバ

お邪魔したお宅の玄関先にクチナシの木があって、とても良い香りがしていた。ところが、花が無残にも食われている。

よく見ると、花の付け根に幼虫。これはオオスカシバという蛾(が)の幼虫。

昆虫は幼虫時代に食べる植物が決まっているものが多いが、オオスカシバはくちなしだけを食べる。

他の枝にもいた。体の色が木の枝や葉の色にそっくりで、見つけにくい。

 

この家の主は、アオムシケムシが苦手とか。そこで、枝ごといただいて、仲間へのお土産に。

幼虫のずんぐりむっくりの端、角が出ている端、どちらが頭?

正解は左の、ずんぐりむっくりが頭。右端の角があるほうがお尻。

鳥などにみつかっても、目立つお尻をつつかれるほうが生き延びる確立が高いからだとか。

    (ここからは、幼虫を飼って羽化させた仲間の写真。)

蛹(さなぎ)になる頃になると体色が変わるものもいる。

これは茶色くなってきたもの。

幼虫は葉をつづり合わせ、蛹になる準備に入った。

脱皮した直後に蛹になるらしい。

つづり合わせた葉を開いてみると、蛹の横に、抜け殻があった。

 

その後、二週間ほどして羽化。羽化直後は羽には白い鱗粉(りんぷん)がついている。

羽が固まり、飛べるようになると、飛び立つ前に体を振るわすのだそうだ。

そうすると、白い鱗粉が落ち、羽は透明になる。

羽が透けているから、「大透かし羽」 これが名前の由来。

前面からみたところ。なかなかりりしい顔をしている。

 

オオスカシバは蛾(が)だからもちろん刺さない。

先日、オオスカシバが飛んでくると、そばにいた人が身を引いた。「蜂かと思った」とのこと。

羽が透明なのは、そういう効果(蜂と思わせる)があったのかと、納得した次第。

                             (写真と情報提供:土田)

目次へ  Topに戻る      2010.7.11