生き物だより No,007

ゴマダラチョウ

-->-->-->
6月1日、小学校で子供たちと生き物探しをしたときのこと、一人の女の子が葉を一枚採ってきて、「卵を見つけたよ」という。なるほどよく見ると葉の縁に丸いものが二つついている。
子供は目がいいから見えているのかもしれないが、私には小さなポチポチとしか見えなかった。 カメラで撮影して拡大すると丸い粒には縦に筋があるから、きっとこれはチョウの卵。

葉はすでに切り取られていたので、自宅を持ち帰り、飼うことにした。
卵は半分黒くなっているから、孵化が近いと思ったが、案の定、6月3日には小さな幼虫が2匹。
幼虫は体長5ミリあるかないか。頭以外は葉と同じ緑色だから、うっかりするとどこにいるのかわからない。じっとしているときは葉脈に沿っていることが多い。

餌は卵があったエノキの葉。葉がしおれてしまわないように、ティッシュを濡らし、ケースの底に敷き、その上に葉を置いた。

二匹がそれぞれ葉の一番先にいる。葉をかじっては葉の先に戻るようだ。周りにある黒いものは糞。こんなふうによごれたらティッシュごと取り換えてきれいにした。

6月7日脱皮。そばにあるのは抜け殻。黒いのは頭部、白いほうが体の抜け殻。

頭には日本の角ができた。おしりにも小さな突起が二つ。

次の脱皮に気が付いたのは幼虫の顔が落ちていたから。本当は顔ではなく頭部の抜け殻だけど。頭部以外の抜け殻は見つけられなかった。

6月12日。

幼虫の背中に小さな三角が二つ。おしりの先もはっきりと二つになった。

葉は縦にかじる。

幼虫の顔はなんだか猫に似ている。

 

葉を入れ替えたりするとき、幼虫を移そうとするとなにかでへばりついている。どうやら細い細い蜘蛛の糸のようなものを張り巡らし、そこにしがみついているらしい。

幼虫の周りに細い糸が見えるだろうか? 

これが細い糸。

そういえば、幼虫はときどきいやいやをするように首を左右に振っていた。もしかしたら、あの仕草は糸をはいていたのかもしれない。

揺れる木の葉から振り落とされないわけだ!

幼虫には脚が二種類ある。体を支えているのは後ろ側の腹脚。円筒形のものが5対あって、一番後ろが少し離れてついている。この離れた脚をまず持ち上げて前へ動かし、次にその前の脚を動かしてと、順送りに動かして前へ進む。

もう一つは3対の胸脚。これはあまり使っている風がない。これが成虫になったときの脚?6月20日。

角を前に倒し、伏せの姿勢。これが防御の姿勢なのかもしれない。6月22日。

何回目かの脱皮。最初の抜け殻から見ると顔がはっきりしている。6月26日。

7月3日、帰宅すると飼育ケースのふたにへばりついていた。翌日も一日中そのままでいる。こころなしか体型がずんぐりして生きて、もしや?と思っていたら5日の朝にはさなぎになっていた

さなぎになるときは脱皮すると聞いていた。確かに抜け殻が落ちていた。今までの抜け殻は頭部しか見つからなかったが。これは体の部分も残っていた。

さなぎ

7月10日、晩御飯が終わってふと見ると飼育ケースの中のチョウが・・・・。

初めて卵からチョウまで飼育した。幼虫はなんだか愛らしい存在だった。しかし、孵化の瞬間も、脱皮する姿も、羽化の気配も観察することはできなかった。そういういみでは、あっけなくチョウが出現した。

卵は2個だったから孵った幼虫も2匹。3種間ほど飼育してから1匹は見つけた小学校へ届けて飼育してもらった。我が家のものより数日遅れたが、こちらも無事に蝶になったと聞いている。

目次へ  Topに戻る      2011.7.17