2000年度の「古利根川の自然ふれあい観察会」の記録

「古利根川の自然ふれあい観察会」は1996年にスタート。2000年度で6年目を迎えました。この観察会の1年間は、つぎのとおりでした。

 4月16日 小雨〜曇 5人
 小雨模様の中で開始。カラシ菜の黄色の花が咲き、サクラの花も残る。キツネアザミ、カントウタンポポ、イヌガラシなどの花。コガモは少し残るだけで、ツバメが飛び交う。

 5月21日 晴 57人
 緑小の児童が参加し、にぎやか。緑中のキリ、緑小のユリノキが咲く。ハルジオン、チガヤ、ネズミムギ。川久保公園沿いの河川工事で残してもらった中洲で、カイツブリ、カルガモが繁殖しているらしい。よかった!今年度工事予定のヨシ原では、オオヨシキリが鳴く。ここも残して欲しいものだ。(早速、県の中川水系治水事務所、市の公園緑地課に要請)

 6月18日 晴 12人
 「雨」の天気予報が外れ、とても暑い。ヤブガラシ、ムラサキツユクサ、ハキダメギクの花。クワの実を食べる。川をクネクネと泳いで渡るシマヘビ。川久保公園予定地の池にはガマ、マコモ、ナルコスゲが生え、シオカラトンボ、ギンヤンマが飛ぶ。ヨシ原にオオヨシキリ。帰りに桜並木でクワガタ発見。

 7月16日 晴 10人
 よく晴れて暑い。アオゲイトウ、イノコズチが伸びる。団地の池にカルガモ7羽、親子だろうか? 公園の水たまりでトノサマガエル。川久保公園横の木陰で涼みながら、アサムシ、セリ、ハス、ノブドウを見て、解散。

 8月20日 曇 12人
 曇りがちだが暑い。ヤブガラシにアゲハチョウ。ヘクソカズラ、イヌゴマの花がきれい。ショウリョウバッタ、イナゴを見る。木陰に入ると涼しくて長居してしまい、川久保公園の手前で解散。

 9月24日 曇 22人
 子ども虫とり大会の予定日。朝方、雨模様のため緑小には「中止」と通知したが、それでも親子連れが集まったので、出発。草が湿って昆虫の動きが鈍く、収穫は多くないものの、ショウリョウバッタ、イナゴ、クビキリギス、エンマコオロギなど。川久保公園の池では大きなザリガニ、ガマの穂、オグルマの花を見る。

10月8日 曇 26人
 春日部市の依頼により、環境保全リーダー向け研修会として臨時開催。治水事務所に草刈りを控えてもらった堤防ではアオゲイトウ、アレチウリ、エノコログサ、オナモミなどが伸びる。鳥はカワセミ1羽、秋の渡りのノビタキとカケスを見て、秋を実感。野田線の人道橋で市職員による水質検査を見学、参考になった。

10月15日 曇 50人
 前月、子ども虫とり大会を「中止」にした緑小の児童・父兄が集まり、大にぎわい。虫とりには遅い時期になったが、前回の種類に加え、カマキリ2種、トノサマバッタ、カワラバッタ、アカタテハ、カナヘビ(は虫類)など収穫は多彩だった。大ぜいの子どもたちの相手はひと疲労だが、「きょうはホントに面白かった!」という声に主催者のオジさん、オバさんたちも大いに満足の一日でした。

11月19日 曇〜晴 14人
 少し寒さを感じる北風のなか、左岸(東)上流を歩く。オニグルミの実が少し残り、ガールスカウトの4人がクルミ拾いに熱中。川面にはユリカモメ、コガモ、ヒドリガモなど鳥たちはもう冬の顔ぶれ。

12月17日 晴 19人
 風がなく穏やかな日。左岸上流へ。出発早々カワセミが出現、飛び回る姿のコバルト・ブルーが鮮やか。カモや水辺の鳥が一通り見られた。先週、地元の自治会がゴミ掃除をしてくれた後で、堤防は大変きれいな状態だった。三本木公園の川岸でゴミを拾った。

 1月 7日 晴 4人
 県下一斉カワウ・カモ類調査に参加。古利根川橋〜橋上公園の間で、カワウ14羽、カモ類6種531羽(カルガモ168、コガモ174、ヒドリガモ135、オカヨシガモ39、オナガガモ9、ハシビロガモ16)を確認。

 1月21日 晴 10人
 前日からの雪が止み、青空の下、川の雪景色がとてもきれいだ。久しぶりに下流東岸を歩く。カワセミの森で、カワウの群とカワセミが1羽。カモ類は下流の古利根川橋の方に寄っていて、望遠鏡でようやく確かめた後、物足りない思いの帰り道で、チョウゲンボウが出現、雄姿を見せてくれた。

 2月17日 晴 50人
 市内の橋上公園周辺で、中央公民館主催の観察会。川沿いは風で寒かったが、ユリカモメ、コガモ、ヒドリガモ、オナガガモ、コサギ、ツグミなど次々に現れる野鳥の姿に参加した市民から歓声しきり。「古利根川にこんなにいろんな鳥がいるなんて知らなかった」という人が多い。古利根の自然はまだまだPR不足か。

 2月18日 曇〜晴 12人
 朝の曇り空から、次第に晴れ間がのぞいて穏やかな陽気に。下流の東岸を歩く。昨日に続いて参加の市民もいたが、オカヨシガモ、イカルチドリ、キセキレイなど新しい鳥も見てもらえた。土手でホトケノザが咲き、水辺ではキタミソウの白い小さな花をルーペで観察。

 3月18日 小雨〜晴 6人
 下流へ向かう。歩くうち青空が広がり、土手のホトケノザ、ナズナ、オオイヌノフグリの花があざやかだ。対岸のヨシの茂みにオオジュリン。カワセミの森の川岸で、カワセミのペアが巣穴堀り。

この1年の成果と反省点

○天候に恵まれ、多かった参加者
 この1年の観察会は、悪天候で中止ということはなく、天候には恵まれました。また、春日部市などが呼びかけた行事もあり、これらを加えると1年間で合計15回の観察会を行い、延べ約310人の市民に古利根川の自然を見てもらうことができました。参加者の年齢階層も元気盛りの小学生から、今も元気な元少年少女まで多様でした。
 この観察会では、川のゴミ拾いもしています。その様子を見ていた川久保地区の住民が「ゴミを持ち帰り!」の看板を掲げ、釣りの常連グループがゴミの回収を始めてくれました。私たちにとって、うれしい出来事でした。

○行政への要望で、前向きの反応も
 定例コース中の野田線鉄橋付近では、春日部市の川久保公園整備と埼玉県の河川整備が進みつつあり、99年以来、両機関に対し川沿いの自然をなるべく残すこと、公園内にビオトープゾーンをつくることなどを要望しています。
 その結果、県が行う河川整備については、99年度の公園上流側工事でヨシ原を中洲状に残してもらったのに続き、00年の公園下流側工事では、オオヨシキリが繁殖する区域の歩道整備を取り止めにしてもらいました。また、観察コース全般にわたり堤防の草刈りを控えてもらったおかげで、植物や虫の観察がよくできました。
 市が行う川久保公園の整備では、公園の中央部に「野草観察の池」をつくる工事が始まっています。この公園整備は今後数年かけて行われるようなので、私たちも計画地内の自然をよく調べ、具体的な要望や提案をしていきたいと思います。

○市民への浸透は、いま一歩
 一部の住民や釣り人たちが賛同してくれたとはいえ、私たちがゴミ拾いをしてしばらくすると、またゴミがたまるという悪循環は続いています。
 この2月、中央公民館主催の野鳥観察会では、私たちの普段の観察会より多い約50の市民が参加しました。その参加者の多くは「古利根川に、こんなに野鳥がいるなんて知らなかった!」、そして、毎月の観察会があることも「知らなかった!」ということでした。自然に関心がありながら、身近な自然のすばらしさに気づいていない春日部市民は、たくさんいるようです。私たちの活動の浸透度も、まだまだだと思います。

 2001年度も、古利根川を核とした“自然ふれあい”の活動を続けています。どうぞ、よろしく。