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身近な薬草、ドクダミこの草ほど多くの人にしつっこい雑草として嫌われたり、多くの人に強力な薬草として親しまれ感謝されているものは他に例を見ない。強烈な臭気と生命力をもつ野草、その名はドクダミである。いやな名である。語源は「毒溜め」から転化したもので、毒をためらわせる、毒を抑制する意味を持つとか。 たくましい日陰の植物 ドクダミは日陰に自生する多年草である。茎は高さが30〜60センチ、葉はハート形で茎とともにやわらかい。6〜7月ごろ2〜3センチの花穂に多数の花をつける。花穂の下に四枚の白い花びらのように見える総苞片がある。 この花は観賞に値するかこのドクダミ、人間の五感を通して観賞するには、とうてい耐えられないが、視覚だけなら結構、楽しめる。特に、夕暮れの中の白い苞葉の集団は、暗い照明の中の白衣のバレリーナのような品のある美しさである。
ある喫茶店でドクダミの一輪挿しを見た。臭気も感ぜず、可愛いのである。店主の感性に感服した。 頑固な便秘に強い薬効私が入院したとき便秘に悩んだ。医師の処方した薬では効果はさっぱり、同室患者も私同様、そろって便秘。病室には特有の共通性があって苦笑いした。一日二日なら苦笑で済んだが、五日も続くと不安である。そこで、わが家からドクダミを煎じてポットに入れて持ってきてもらった(私は血圧が高いので、毎日飲んでいる)。その日のうちにコップ1杯で全員効果が出た。以後一日おきにドクダミを煎じて病院に持参、ドクダミの凄さを体験した。ドクダミが縁で今でも友好が続いている臭い仲となった。 採集法と利用法 ドクダミは、日陰なら家の裏など、どこでも生育しているが、犬様の小便無用のところを選んで採る。採取は軍手をはめて引き抜くと根元までとれるが、土が付く。洗うのが大変なので、私は地上部をハサミで切り取っている。採取したら、すぐに水にさらしながらよく洗う。 《自家栽培》ドクダミを栽培するときは、根を採ってきて日陰に埋める。鉢植えにしてもよい。一ケ月で芽を出し生育する。白家栽培の利点は、いざというときに生薬を利用することができる。生葉は抗菌作用があり、水虫やタムシなど外用に利用できる。《あみゅーず89号(2001年5月)より転載》 |