2001年4月発行

支部長挨拶

               

松本順吉

 多くの国民の反対を押し切って、諫早湾のギロチン締め切りが行われました。その時、のりの生産者の反対の声は聞かれなかったようです。しかし、今年はのりの変色が諫早湾の締め切りが生態系を狂わした結果ではないかと騒がれています。
 長野県の田中知事は「脱ダム宣言」をしました。今年の予想を反した異常気象に自然環境も社会環境も、そして生活環境も曲がり角に来ました。 
 春日部市でも環境条例ができ、環境基本計画が策定されました。学校の環境教育も推進されています。学校5日制を前にして私達の運動が注目され、期待されてきました。
 
 小学校の環境教育に協力
 
 2002年から総合的な学習が創設され、その中で環境教育が実施されます。
 現在教育課程の移行期で、多くの学校で環境教育の「ありよう」が研究され始めました。
 私たち春日部支部にも、環境教育の中で、自然体験学習のサポ−ト依頼があり、小学校6校の教育活動に参加する機会を得ました。その中で安全に自然体験できる場があるのは1校だけでした。また校内で体験学習ができるように野草を保護している学校は2校だけでした。
 春日部の環境基本計画の取り組み内容に「学校ビオトープの整備」があります。これも早急に推進する必要があります。ちなみに越谷市では既に10校でビオトープが造られ、教育活動に利用されています。
 
 川久保公園を野草観察園に!
 
 川久保公園の工事が始まりました。
 2月23日、市の公園緑地課に工事内容について話を聞きました。その時の話によりますと、工事は6年計画で造るようです。
 私たちは1999年9月に川久保公園について文書で要望書を出しました。その中で
 ・自然生態系の回復、維持と節度ある自然観察などを優先する計画
 ・計画案の提示
 ・私たちを含めた市民との公園計画の検討、協議の機会を設ける
この3点を御願いしました。
 現在市が進めている工事内容は自然にできた池の周りを全部岩石にする工法で私たちの申し入れとは違っています。
 市の環境条例20条には「市は環境の保全及び創造に関する施策を効果的に推進するため、市民等の意見を聴くように努めるものとする」と規定されています。
 私たちはこれからも話し合いを求めてまいります。
 

「古利根川の自然ふれあい観察会」から

               

小沢典夫


 2000年度の観察会は今年3月で満6年になった観察会のこの1年間は、つぎのとおりでした。

4月16日 小雨〜曇 5人 小雨模様の中で開始。カラシ葉の黄色の花が咲き、サクラの花も残る。キツネアザミ、カントウタンポポ、イヌガラシなどの花。コガモは少し残るだけで、ツバメが飛び交う。
5月21日 晴 57人 緑小の児童が参加し、にぎやか。緑中のキリ、緑小のユリノキが咲く。ハルジオン、チガヤ、ネズミムギ。川久保公園沿いの河川工事で残してもらった中洲で、カイツブリ、カルガモが繁殖しているらしい。よかった!今年度工事予定のヨシ原では、オオヨシキリが鳴く。ここも残して欲しいものだ。(早速、県の中川水系治水事務所、市の公園緑地課に要請)
6月18日 晴 12人 「雨」の天気予報が外れ、とても暑い。ヤブカラシ、ムラサキツユクサ、ハキダメギクの花。クワの実を食べる。川をクネクネと泳いで渡るシマヘビ。川久保公
園予定地の池にはガマ、マコモ、ナルコスゲが生え、シオカラトンボ、ギンヤンマが飛ぶ。ヨシ原にオオヨシキリ。帰りに桜並木でクワガタ発見。
7月16日 晴 10人 よく晴れて暑い。アオゲイトウ、イノコズチが伸びる。団地の池にカルガモ7羽、親子だろうか?公園の水たまりでトノサマガエル。川久保公園横の木陰で涼みながら、アサムシ、セリ、ハス、ノブドウを見て、解散。
8月20日 曇 12人 曇りがちだが暑い。ヤブカラシにアゲハチョウ。ヘクソカズラ、イヌゴマの花がきれい。ショウリョウバッタ、イナゴを見る。木陰に入ると涼しくて長居してしまい、川久保公園の手前で解散。
9月24日 曇 22人 子ども虫とり大会の予定日。朝方、雨模様のため緑小には「中止」と通知したが、それでも親子連れが集まったので、出発。草が湿って昆虫の動きが鈍く、収穫は多くないものの、ショウリョウバッタ、イナゴ、クビキリギス、エンマコオロギなど。川久保公園の池では大きなザリガニ、ガマの穂、オグルマの花を見る。
10月8日 曇 26人 春日部市の依頼により、環境保全リーダー向け研修会として臨時開催。治水事務所に草刈りを控えてもらった堤防ではアオゲイトウ、アレチウリ、エノコログサ、オナモミなどが伸びる。鳥はカワセミ1羽、秋の渡りのノビタキとカケスを見て、秋を実感。野田線の人道橋で市職員による水質検査を見学、参考になった。 10月15日 曇 50人 前月、子ども虫とり大会を「中止」にした緑小の児童・父兄が集まり、大にぎわい。虫とりには遅い時期になったが、前回の種類に加え、カマキリ2種、トノサマバッタ、カワラバッタ、アカタテハ、カナヘビ(は虫類)など収穫は多彩だった。大ぜいの子どもたちの相手はひと疲労だが、「きょうはホントに面白かった!」という声に主催者のオジさん、オバさんたちも大いに満足の一日でした。
11月19日 曇〜晴 14人 少し寒さを感じる北風のなか、左岸(東)上流を歩く。オニグルミの実が少し残り、ガールスカウトの4人がクルミ捨いに熱中。川面にはユリカモメ、コガモ、ヒドリガモなど鳥たちはもう冬の顔ぶれ。
12月17日 晴 19人 風がなく穏やかな日。左岸上流へ。出発早々カワセミが出現、飛び回る姿のコバルト・ブルーが鮮やか。カモや水辺の鳥が一通り見られた。先週、地元の自治会がゴミ掃除をしてくれた後で、堤防は大変きれいな状態だった。三本木公園の川岸でゴミを拾った。
1月7日 晴 4人 県下一斉カワウ・カモ類調査に参加。古利根川橋〜橋上公園の間で、カワウI4羽、カモ類6種531羽(カルガモ168、コガモ174、ヒドリガモ135、オカヨシガモ39、オナガガモ9、ハシビロガモ16)を確認。
1月21日 晴 10人 前日からの雪が止み、青空の下、川の雪景色がとてもきれいだ。久しぶりに下流東岸を歩く。カワセミの森で、カワウの群とカワセミが1羽。カモ類は下流の古利根川橋の方に寄っていて、望遠鏡でようやく確かめた後、物足りない思いの帰り道で、チョウゲンボウが出現、雄姿を見せてくれた。
2月17日 晴 50人 市内の橋上公園周辺で、中央公民館主催の観察会。川沿いは風で寒かったが、ユリカモメ、コガモ、ヒドリガモ、オナガガモ、コサギ、ツグミなど次々に現れる野鳥の姿に参加した市民から歓声しきり。「古利根川にこんなにいろんな鳥がいるなんて知らなかった」という人が多い。古利根の自然はまだまだPR不足か。
2月18日 曇〜晴 12人 朝の曇り空から、次第に晴れ間がのぞいて穏やかな陽気に。下流の東岸を歩く。昨日に続いて参加の市民もいたが、オカヨシガモ、イカルチドリ、キセキレイなど新しい鳥も見てもらえた。土手でホトケノザが咲き、水辺ではキタミソウの白い小さな花をルーべで観察。
3月18日 小雨〜晴 6人 下流へ向かう。歩くうち青空が広がり、土手のホトケノザ、ナズナ、オオイヌノフグリの花があざやかだ。対岸のヨシの茂みにオオジュリン。カワセミの森の川岸で、カワセミのペア巣穴掘り。

この1年の成果と反省点

○天候に恵まれ、多かった参加者
 この1年の観察会は、悪天候で中止ということはなく、天候には恵まれました。また、春日部市などが呼びかけた行事もあり、これらを加えると1年間で合計15回の観察会を行い、延べ約310人の市民に古利根川の自然を見てもらうことができました、参加者の年齢階層も元気盛りの小学生から、今も元気な元少年少女まで多様でした。
 この観察会では、川のゴミ捨いもしています。その様子を見ていた川久保地区の住民が「ゴミは持ち帰り!」の看板を掲げ、釣りの常連グループがゴミの回収を始めてくれました。私たちにとって、うれしい出来事でした。

○行政への要望で、前向きの反応も
 定例コース中の野田線鉄橋付近では、春日部市の川久保公園整備と埼玉県の河川整備が進みつつあり、1999年以来、両機関に対し川沿いの自然をなるべく残すこと、公園内にビオトープゾーンをつくることなどを要望しています。
 その結果、県が行う河川整備については、1999年度の公園上流側工事でヨシ原を中洲状に残してもらったのに続き、今年度の公園下流側工事では、オオヨシキリが繁殖する区域の歩道整傭を取り止めにしてもらいました。また、観察コース全般にわたり堤防の草刈りを控えてもらったおかげで、植物や虫の観察がよくできました。
 市が行う川久保公園の整備では、今年度は、雨水がたまる窪地の部分に「野草観察の池」をつくる工事が計画されています。この公園整備は今後数年かけて行われるようなので、私たちも計画地内の自然をよく調べ、具体的な要望や提案をしていきたいと思います。

○市への浸透は、いま一歩
 一部の住民や釣り人たちが賛同してくれたとはいえ、私たちがゴミ捨いをしてしばらくすると、またゴミがたまるという悪循環は続いています。
 この2月、中央公民館主催の野鳥観察会では定員(40人)を超え、私たちの普段の観察会より多い約50の市民が参加しました。その参加者の多くは「古利根川に、こんなに野鳥がいるなんて知らなかった!」、そして、毎月の観察会があることも「知らなかった!」ということでした。自然に関心がありながら、身近な自然のすばらしさに気づいていない春日部市民は、たくさんいるようです。私たちの活動の浸透度も、まだまだだと思います。
 また新しい1年が始まります。2001年度も、古利根川を核とした"自然ふれあい''の活動を続けていきます。どうぞ、よろしく。

生態系保護と水環境について

               

                      飯山健次郎

 遂に21世紀へと時が流れ始めた。20世紀に残した数々の環境に関する問題点を、宿題を抱えて・・・   環境保全に対する関心もマスコミや行政、また一般にも知られているように見えてはいるがまだまだ意識は低いのが現状である。  「ふれあい自然観察会」古利根川での数年間、参加して感じたことをまとめてみたい。  まず、生態系保護がなぜ環境危機への啓蒙活動に役立つべきか。複雑な問題で考えると難しいことと感じている。それは経済中心の社会、制度、システムにあることを知らされた。  大量生産・大量消費--------ゴミである  行政が法律---条例---計画と発表はするものの具体的ではない。   環境NPO活動   環境NGO活動    この活動は今後、主体的活動をすべきであると思う。  さて、水環境の担当として、毎月水質測定を実施し、勉強会なるものをやっている。地味でもいいから、これを継続、実行していくことは大切な意味がある。  河川の水の汚濁原因の発生源は75%が日常生活に伴って生じる生活排水であり、このうちの8割が放流規制が為されていない。汚染された河川水が生態系を破壊していることは一般によく知られているはずなのに、である。  なお、土壌や大気について関心のある方を募りたい。  最後に環境教育の必要性を小、中学校に望みたい。子ども達の意識向上を期待したい。21世紀環境保全型社会に変革してゆくことを期待しつつ、啓蒙活動を続けたい。  春日部市もISO14001認証自治体にする運動も今後進めるべきである。
平成12年      水質測定記録
測定日 DO COD PH 水温
1/16 6 8 7 8
2/ 雨天中止
3/19 7 20 7 14
4/16 5 5 6 12
5/21 8 40 -- 20
6/18 8 20 6 27
7/16 7 30 7 26
8/20 6 25 7 25
9/24 5 10 -- 22
10/15 5 20 7.5 19
11/19 8 5 -- --
12/17 7 10 -- 10

こどもエコクラブPiPi会員募集中です

               

土田貴子

 
 春のお花見、夏のキャンプ、秋には果物やきのこ採り、冬はスキー。こどもたちが自然と親しめるように、自然の中で過ごす時のこどもたちの輝きに満ちた姿を楽しみに季節ごとにいろいろな場所に出掛けるご家庭はとても多いと思いますが、こどもたちがほとんどの時間を過ごすみじかな春日部での自然とのふれあいを日常のこととしているご家庭は少ないのではないかと感じています。
 『だって春日部に親しめる自然なんてないじゃない。』そんな声が聞こえてきます。はたしてそうでしょうか?こどもは遊びの天才と言われています。きっと小さな自然に目を向け、向き合い、親しみ、かかわり合う能力をひとりひとりが備えているはずです。こどもの時から自分の暮らすまちの自然を知り、自分の暮らすまちを愛し、大人になってもあせることのない豊かな感性を育んでいくことは大きくは地球環境のため、そして春日部の今後のまちづくりのため、ひとりひとりの心と体の平和のためにとても大切なことだと考えます。
 こどもエコクラブPiPiでは市の環境保全課を通して環境省主催のこどもエコクラブに登録、ざまざまなこども向けの情報を受け取ること以外にみじかな自然とのふれあい、地球にやさしい暮らし方をテーマに独自の活動を4年間続けてきました。
 4月からは埼玉県生態系保護協会春日部支部の活動のひとつとして取り組ませていただくことになり、現在こどものメンバー及びお手伝いをしていただける方を募っています。埼玉県生態系保護協会の会員の方はもちろん会員外の方でも大歓迎です。どうぞよろしくお願い致します。

支部としての今後のあり方に思う

               

元副支部長 大竹 仁


 春日部市に待望久しい環境基本条例が平成11年12月に制定され、その基本計画が策定された。その作成に当たり市民懇話会の一員として当支部を代表して参加出来たことは、嬉しい限りであった。
 今、古希を過ぎて思うことは、次の世代に自然をどれだけ残すことが出来るかと言うことである。20世紀の最中を生きた吾々世代の功罪は物質文明を最優先にしてやみくもに生きて来たことでしょう。
 国やぶれて山河あり、国富みて山河消ゆ この二つの記述に尽きるのです。
 春日部市の市民憲章の一節に「水と緑の地方都市」とありますが、今は僅かに市の中央を流れる古利根川と市の北側に位置する内牧の緑に自然が残るだけであり、その緑も都市公園化され、多くの樹林が伐採され、'古利根川もまた心ない一部の人達のために汚れているのが現状です。
 今、当支部の会員は約150余名と聞いておりますが、会員一人一人が何を考え何を希望されているのか、そんな思いがするのです。幸い市の環境行政の一環として市民懇話会に引き続き「かすかべ環境推進協議会」が発足しその主要メンバーとして支部長の松本さんが頑張っでいます。どしどし会員の意見を集約し反映したいものです。そのためにも遅まきながら事務局の場所も設定し、ホームページも開くことになったようなので、いずれは会員相互の情報交換が容易に出来る事を期待したいものです。以上