2006年4月発行

支部長挨拶

                 

支部長 三好あき子

  今年もグンバイナズナの花が咲いた。軍配のような形の種をつけるこの草は、外来種らしいが、数が少なく、なぜか一年おきにしか見られない。田んぼのわきの水路近くにほんの数本だけ出た。
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 早春、田んぼの畦で咲くのはホトケノザ。まだ風が冷たいうちからピンクの花をつける。オオイヌノフグリも青い瞳を輝かせる。ツクシやセリが出てくれば春本番。心は弾む。
 田んぼに水が入ると旅の途中のムナグロが一休み。アマサギやコサギ、ゴイサギも田んぼで餌をとる。水の中ではアメリカザリガニやドジョウに混じって、カブトエビやホウネンエビが泳いでいる。
 稲が伸び、蝉が鳴く夏は、畦にスベリヒユが黄色の花を咲かせる。シオカラトンボの羽化がまだ暗いうちに始まるのは、羽が乾いて飛べるようになるまで動けないから。
 稲刈りのころ、稲の間にキクモやコナギ、イボクサが可憐な花を咲かせる。ミズワラビもそこここに見られる。ナガボノシロワレモコウの白い花穂のわきに、ヌマトラノオの花も。
 木枯らしが吹く冬、ツグミが胸をそらせる。何もいないように見える乾いた田んぼにも、ツグミの餌はあるようだ。カモたちも夜、餌場とする田んぼへ出かける。
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 私が朝夕散歩をする田んぼだが、ここが特別多くの生き物がいる、ということではないのだろうと思う。どこの田んぼでもさまざまな生き物が、それぞれに懸命に生きている。命と命をつないでいく作業が"生きる"ということなのだろう。



 

「古利根川の自然ふれあい観察会」から

                                                

小沢 典夫

   2005年度は、毎月1回の定例観察会のほか、水鳥カウントや一斉清掃を含め合計15回の行事を古利根川で行い、約200人の参加者がありました。以下は、毎回の観察会の様子です。

 4月17日 晴 9人(内ジュニア0人)
 桜の花が少し残り、草の緑が色濃くなった古利根川の堤防を、上流方向に歩く。土手ではヘビイチゴ、オオジシバリ、オニタビラコなどの花。川の水面にはカイツブリとカルガモ、冬鳥のコガモとヒドリガモが少し残る。この春開通した「ゆりのき橋」の新道を渡る。野田線付近のアシ原でノウルシ(国の絶滅危惧植物)を確認、数年前に河川工事を止めてもらった場所だった。久しぶりの川久保公園でゴミ拾いをして解散。

 5月15日 小雨のち曇 9人(内ジュニア0人)
 小雨の中、今日は中止と傾きかけていたところ、埼玉県生態系保護協会の新人職員3人が「自主研修」で参加してくれたので、決行。上流方向へ川久保公園まで歩く。帰途につく頃は、雨も上がり薄日がさす。行きに気づかなかったシロバナタンポポを確認。雨がやんで気温が上がったので開花したんでしょう、などと話す。県協会本部にも意欲的な若い人たちが増え、行く末頼もしいかぎり。

 6月19日 曇 12人(内ジュニア0人)
 上流方向へ。堤防は草刈り直後だったが、治水事務所に「水際の草をなるべく残して」と先日お願いした効果か、いつもの草刈り後より緑が多い。カタバミやオオバコの花、水際のヨシにからまって伸びるヒルガオやヤブガラシ、その辺りを飛ぶハグロトンボを観察。ゆりのき橋わきの湿地は今年も無事で、チゴザサ、アゼナルコ、ミゾカクシの花を確認。川久保公園の水路にはハンゲショウ。植生管理地でセイカタアワダチソウの除去など。

 7月18日 うす曇 10人(内ジュニア1人)
 薄日が射して蒸し暑い。右岸を上流へ。堤防はガガイモなどが伸び、水際にイヌゴマの花。水面には2か所でカイツブリの親子づれ。川久保公園の池ではコガマとヒメガマが穂を出し始め、水路脇ではハンゲショウが一段と大きくなった。オオブタクサを抜き取り、解散。

 8月21日 晴 14人(内ジュニア1人)
 よく晴れて陽射しが暑い。堤防は夏の草刈り後だったが、水際のアシにからみついて伸びるヘクソカズラやヤブガラシの花。緑中の桜並木にはアブラゼミとツクツクホウシが多く、水路脇ではハグロトンボも。川の水面に浮かぶヒシの小群落を2か所で発見(当地では初確認)、上流から流れてきたのだろう。川久保公園近くの水際でゴキヅルの花。公園の池の周りはナガボノシロワレモコウが花の盛り。昨年は見られなかったオグルマの花も3株確認。公園の草刈りを控えてもらった効果だろう。

 9月18日 晴 45人(内ジュニア20人)
 恒例の「子ども虫取り大会」を開催、捕虫網を手にした親子づれが大勢集まった。堤防は適度に草が茂り、虫取りを楽しみながら上流・左岸を進む。子ども達もさることながら、お父さん・お母さんもそれ以上に虫取りに熱中。最後に川久保公園の木陰で集まり、捕まえた虫を確認したところ、オオカマキリ、ショウリョウバッタ、オンブバッタ、トノサマバッタ、クルマバッタ、カワラバッタ、イナゴ、クビキリギス、セグロツユムシ、ノシメトンボ等々、多彩な成果だった。

10月16日 雨  3人(内ジュニア0人)
 雨がやまず中止にしようと思ったが、参加者があり下流側を少し歩いた。土手にはチカラシバ、カゼクサ、セイバンモロコシが元気に伸び、水辺ではカイツブリ、カルガモ、カワウ。あとは傘を差したまま、庭に来る鳥、虫の飼い方、樹の見分け方など四方山話に興ずる異例の観察会となった。

11月19日 晴 14人(内ジュニア1人)
 朝の水質検査は、市役所提供の透視度計が加わって盛り上がる。まずは左岸を少し上流へ。川の干潟ではカルガモの群にコガモが混じり、ユリカモメが集まる。次に下流へ向かうと、夏の間にたまったゴミが散乱し、自転車など含め大量に回収。かわせみの森で、カワウ約20羽と樹上にアオサギ1羽。水際ではコイヌガラシ、スカシタゴボウが花を付け、小さなキタミソウも健在。ケヤキの紅葉、電線のモズなど見て帰る途中、かわせみの森にカワセミが現れ、美しい姿を堪能。ゴミ拾いのお返しかもね、と喜びながら解散。

12月18日 晴 10人(内ジュニア0人)
 強い北風があり寒い。下流へ向かう。かわせみの森のカワウは、風を避けるように地面や低い木の枝でじっとしている。我々も風を避けて笹藪の陰へ。日当たりの良い足下の畑には、タネツケバナ、ホトケノザ、オオジシバリなど春の植物が芽を伸ばす。川の上を風に向かって飛ぶセグロカモメも大変そう。と、かわせみの森からオオタカが1羽、風の中に舞い出し、また森の中へ。まあこういう日もありますよと、少し早めに解散した。

 1月 7日 晴 11人(内ジュニア0人)
 県下一斉のガンカモ類調査に参加し、古利根川橋(国道4号バイパス)〜橋上公園(粕壁)の区間で水鳥のカウント調査を実施。歩き始めの赤沼地区と途中のかわせみの森近くで、オオタカ若鳥を1羽ずつ観察。こいつぁ春から縁起がいいやと思ったが、水鳥の仲間は総じて少ない。カウント調査で確認できたカモ類はカルガモ112羽、ヒドリガモ103羽、コガモ66羽、ハシビロガモ7羽、オカヨシガモ2羽、オナガガモ2羽の6種292羽で、前年(4種、342羽)に比べ種類数は少し増えたものの、個体数は非常に少なかった。他の水鳥はカワウ34羽、カイツブリ11羽、イカルチドリ10羽など。例年百羽以上見られるユリカモメが、1羽もいなかったのも不思議なことだ。

1月15日 晴 15人(内ジュニア1人)
 連日の寒さがゆるみ、穏やかな陽気。昨日の雨で川の水量が増え水の透視度が低い。藤塚橋の上流では、カルガモの群にハシビロガモ、コガモが混じる。下流では、かわせみの森にカワウ、付近の水辺にカルガモ、カイツブリ、アオサギ、イソシギなど。そこへ下流方向からハヤブサ1羽が飛来し、我々の目の前をさっそうと飛び去る。観察会では一昨年以来、久しぶりの珍客出現に感激。

 2月4日 晴 14人(内ジュニア0人) 
 公園橋付近で、中央公民館主催の野鳥観察会を行った。寒波の到来で北風が吹き寒い。集合時にカワセミが出現、美しい姿をみんなで観察。八幡橋に向かう途中、足下には見事な霜柱、河原のアシの茂みにゴイサギ、キジバト、ムクドリ、アオジなど、水面にはカルガモ、コガモ、ヒドリガモ、カワウなど。寒いながらも冬の野鳥と風物を楽しむ観察会だった。

 2月19日 曇 12人(内ジュニア1人)
 まずは左岸を上流へ。干潟にはカルガモとコガモの群、コガモの雌1羽を雄5羽が取り囲んで求愛する様に、どよめく観客。下流へ向かい、かわせみの森でカワウ、水面にセグロカモメ、電線にカワラヒワ、アシ原にオオジュリンなど。観察会の終了後、有志が残って国道4号バイパス付近までゴミ拾い。いつもは手の届かない堤防と河川敷で、大量のゴミを回収。作業を終えての帰途、堤防にシラコバト4羽が現れた。

 3月12日 晴 6人(内ジュニア0人)
 春日部市の呼びかけによる古利根川一斉清掃の日。藤塚橋の下流・右岸にあるかわせみの森で、川を流れてきて倒木に引っかかったゴミを中心に、4時間でリアカー7台分を回収した。

 3月19日 曇〜晴 9人(内ジュニア0人)
 一斉清掃の後の古利根川はゴミが少ない。藤塚橋上流の干潟ではカルガモ・コガモ・ヒドリガモが40羽ほど、歩き回るのはコチドリ。桜の花芽が膨らみ、土手にはオオイヌノフグリとホトケノザの花。下流に向かい、かわせみの森にカワウ10羽ほど、その先の水面にセグロカモメ2羽。お彼岸の墓参りで土手を通る家族づれが多い。かねて懸案だった「流作」跡地の土砂の搬出が、ようやく始まっていた。
注)この「流作」跡地は、市の公園予定地で我々が保存を要請していた場所。04年秋に市内の公共工事で発生した土砂が持ち込まれたため、撤去して原状回復するよう求めていたものです。

 個別の行事以外で、この1年間の出来事としては、埼玉県が開始した「水辺の里親」制度に呼応して、春日部支部は古利根川の「里親」になることを申し出、県及び春日部市と協定を結びました。里親の仕事は河川清掃などボランティア活動をすることで、当支部は毎月の観察会を行う藤塚橋を中心とした約2.5kmの区間を担当します。
 また、過去十年あまりの観察会の経験を踏まえつつ、「古利根川の自然ガイド」なる出版物の作成準備を進めてきました。このガイド本は06年中に刊行される見込みです。

 ここで皆さんに、大切なお知らせがあります。この4月から、古利根川の定例観察会の開催日は、毎月“第4日曜日”に変更します。
 春日部市民にとってかけがえのない古利根川の自然を見つめ、将来に伝えていくために、
この「古利根川の自然ふれあい観察会」を継続していきます。一人でも多くの方々にご参加いただき、応援していただきますよう、どうぞよろしくお願いします。


事件は現場で起きていた

               

輪島 正

                               
本文わずか48頁の小さな本「センス・オブ・ワンダー」に出会わなかったら、私は環境問題に関心を持たなかったかも知れない。この本で、レイチェル・カーソンを知り、「沈黙の春」を読み、すっかり目が覚めた私は自分も何かしなければと思い立った。
ところが、環境問題についてきちんと教えてくれる講座はないものかと、散々調べてようやく見つけたのが「森林サポーター養成講座」であった。しかも受講料無料とある。これだ、ちょっと違うかもしれないが環境の手始めは森林かな、と軽い気持ちで参加してみたのだが、入口は間違っていなかったらしい。朝5時に起きて横瀬町の県民の森まで出掛けたことは無駄ではなかったようだ。やがて時間が用意してくれた予定に従って行ったら環境大学にたどり着いた。
彩の国環境大学での二年間の学習で分かったことは、環境問題と言うものが日常生活の中で広範囲に存在するということと、細かく分かれたテーマ毎に深く入り込まなければ本当の事は分からないらしい、ということであった。講義は専ら研修室で行われ、専門分野の講師が専門用語で話してくれても、初心者にはあまり良く分からなかったし、パワーポイントでたくさん写真を見せられるより現地へ出掛けて、あるいは現物を自分の目で見たらすぐに分かるのにと思うことがしばしばであった。建物の外で講義を受けたのは二年間でただ一回きりであったが、その時の講師が埼玉県生態系保護協会の人だったので、私は、その団体をいっぺんで好きになってしまった。かねがね、環境大学を修了したらテーマを見つけて具体的に行動しようと考えていたので、迷うことなくそのテーマを「自然保護活動」に決めたのだった。
住まいのある庄和町が合併で新春日部市となって、手許に来た最初の広報で埼玉県生態系保護協会春日部支部が活動している事を知り嬉しくなって、早速谷原へ出掛けて三好支部長にご挨拶を申し上げた。続いて参加した古利根川の観察会の最初の日に「事件」は起きた。オオタカとの遭遇であった。
旧庄和町のあるあたりは埼玉県でも有数の米作地帯であって、樹木と言えば、見渡す限りの田んぼに点在する農家の建物や、神社や寺の周りにわずかにあるだけで、林なんてものはない。移り住んで32年の間に、道路が出来、大きな建物が建ち、環境破壊は随分進んだから猛禽類と出会うことなどあり得ない。自然環境と言えば身の回りとは関係ない遠くの場所を指す言葉であった。だのに双眼鏡の向こうにオオタカがいる。大事件である。双眼鏡を覗いているうちに、テレビドラマのワンシーンが浮かんできた。

踊る大捜査線で織田裕二扮する湾岸署の青島巡査部長が電話で叫んでいる。
「事件は会議室で起きてるんじゃない、現場で起きているんだ」

その通りの事が今目の前で起きている、だけど、その会議室というのは私自身の頭の中の事だったのだろうか。身近な所に自然はないと思っていたら、どうやらこの辺りでも生態系のピラミッドは健在らしい。何だか嬉しくなってきたぞ。これからも観察会でいろいろな「事件」に遭遇出来ることを期待しよう。オオタカさんありがとう。 (終)


「北九州に行ったら・・」

               

並木 章

 毎月、(財)埼玉県生態系保護協会春日部支部が主催する「古利根ふれあい自然観察会」
に参加して3年が経ったころ、北九州に転勤になり、この春、ふたたび春日部に戻ってきました。
単身赴任だったので、土曜、日曜はもっぱら、外に出かけ、野草や野鳥を一人で観察しました。 ただ、今までに見たこともない植物や鳥などに出くわすと、「こんなとき、古利根ふれあい自然観 察会の人たちと一緒なら、教えてもらえるのになあ。」とため息をつくことが何度もありました。
 春日部と北九州ではだいぶ自然の状況が違います。
 春には、白いタンポポ(シロバナタンポポ)が多く、黄色いのもありますが少なめです。 手入れが届いていない空き地では必ずと言っていいほど、四角い茎の「柳花笠」が群生しています。 住宅地でも、桜の樹にはコゲラがやってきます。 春日部の自然観察会で覚えた「灯台草」や「八重葎」を見つけたとき、そして「河原鶸」の声を 聞いたときは本当にうれしく思いました。
 夏、春日部で蛍が見られるところは限られていますが、北九州市内では、どの川でも蛍が飛び交う といった感じで「ほたるマップ」が各駅に置いてあるくらいです。 関門海峡へ注ぐ川で、偶然ですが、蛍が袖口にとまり、目の前でピカーリ、ピカーリと 放った何ともいえない光に魅入ってしまいました。
 セミもアブラゼミより、シャワシャワと鳴く「クマゼミ」のほうが多い感じがしました。 天気の良い日には、ソアリングをしているトンビを間近に見たり、 一度会いたかった「黄鶺鴒」にも北九州で出会うことができました。
 北九州市は自然・環境の保護活動や各種観察会が盛んに行われており、春日部市との違いにも 気づくなど、たった一年でしたが、とても貴重な経験をさせていただきました。


バードウォッチング

               

三好あき子

生協の仲間に声をかけ、バードウォッチングをしました。初めての方が多く、楽しんでいただけたようです。感想をいただきましたので、紹介します。

ご夫妻で参加されたAさん
バードウォッチング・・・初めて参加してみてとても楽しかった!です。有難うございました。コサギ、カワウ、カイツブリ、そしてカワセミetc.・・・・嬉しい出会いの感動を忘れずに、今度は図書館で本を借りてもう少し勉強を深めます。

ご家族で参加のBさん
先日は有難うございました。その後、鳥を見かけると、こどもたちと「あれは○○だね」「これは××かな」と話しています。


 鷹場とその制度 

               

松本順吉

 家康は関東入国後、各地で鷹狩りをしている。とりわけ、越谷付近はお気に入りで、大相模不動尊には家康使用の「かいまき」が現存している。また、宿泊・休息施設として元荒川沿いに造った御殿場は、今日でも地名として残っている。
 三代将軍家光時代になると、諸制度や職制も整えられ、鷹匠や鳥見なども職制として確立した。また、御三家や有力大名にも特権として鷹場を与えた。
 五代将軍綱吉は「生類憐みの令」を出し、鷹場を廃止した。鷹は残らず伊豆の新島に放たれた。
 狩好き八代将軍吉宗が就任すると廃止された鷹場を復活させ、鷹場制度の充実をはかった。鷹場は次のように三区域に分けられた。
1.御拳場(おこぶしば)  江戸から五里(20Km)以内を将軍の鷹場に指定した
2.御留場(おとめば)   江戸から五里〜十里以内を先例に倣って御三家などに与えた
3.捉飼場(とらえかいば) 江戸から五里〜十里以内に鷹の実地訓練や餌の調達のための鷹場を作った(例外もある)
 鷹場はいずれも禁猟区で、鳥を驚かすことも厳しく禁じられ、村には取締りのために鷹番小屋を建てることを命じられた。(享保六年の鷹場についての高札が春日部市郷土資料館に展示されていた。)
 吉宗は鷹場の管理運営のため、鷹に関する職制や勤務場所なども充実させた。雑司が谷と千駄木に鷹部屋が設けられ、鷹匠などは二組に分けられた。各部屋には千石から二千石の旗本を鷹匠頭に充て、配下には鷹匠組頭、鷹匠、鳥見、餌指などがあわせて120名ほどいた。
 鳥見の職務は鷹場の整備のほか、治安維持も行った。なかには、職務柄在宅勤務の役人や世襲役人もいた。春日部市の内牧には鳥奉行といわれている家が今もなお存在する。
 餌指は鷹の生餌を調達する役人で、春日部ではロビンソン近くにいたという。
 幸手、杉戸、春日部、越谷の大部分は千駄木部屋の捉飼場とされ、久喜では河原井沼付近は千駄木部屋、吉羽付近は雑司が谷部屋の捉飼場に分かれていた。
 鷹場はいずれも領主と鷹役人に支配され、農民は殿のお遊びのために苦しめられたのである。
 明治になると鷹場制度は廃止された。野鳥の乱獲が始まり、多くの野鳥が消えた。鶴の飛来地が日本では二箇所のみになり、野鳥の保護は話題になったのは最近のことである。

自然保護活動と日常のライフスタイル

               

飯山健次郎

 平成17年10月、庄和町と春日部市が合併し、新春日部市が誕生した。新たな市として期待したいところである。
 しかし、自然保護面について関心はいまひとつでであり、進まない。自然の大切さをPRする努力も必要だ。
 私たちは毎月の定例観察会で「ゴミ」拾いをしているが、かなり「労多くして・・・」といった感がある。
 「過剰包装」と言う言葉は聞いても、他人事と受け取っている人が多いようだ。買い物袋を持参する運動もなかなか前へ進まない。
 先年、「MOTTAINAI−もったいない」という言葉が世界へと発信された。ライフスタイルを変え、物を大切にし、物を捨てない生活をしよう。日常生活を変えていくことは時間がかかる。しかし、大人たちが見本となり、未来のこどもたちへ伝えていくことが大切だ。

谷原親水広場×

               

土田貴子

 ウイングハット・春日部(谷原総合体育館)の敷地内に親水広場が「ビオトー プ」として整備されてから、4度目の春を迎えました。
 「ビオトープ」とは[ビオ(Bio)生き物]と[トープ(Top)場所]を表すギ リシャ語を組み合わせた、ドイツで生まれた言葉です。日本でも、失われた生息 地を生き物たちに取り戻すための自然保護活動として導入され、徐々に各地に広 まりつつあります。
 谷原親水広場は、春日部にずっと昔からあった風景を再現し、違和感や特別な存 在感などなく、地域に溶け込み、なんとなくホッとするような、私たち人間に とっても優しく穏やかな空間です。
 自然はなるべく人間の手を加えてはならないと考えられがちですが、「ビオトー プ」は人間が創造した空間です。何もせずほったらかしのままでは、土砂が堆積 し、植物が生い茂り、ある一部の生き物だけしか棲むことのできない、多様性の ない自然になってしまいます。現存の生き物、新たに棲みつく生き物、逆に減っ ていく生き物等、継続して観察(モニタリング)した結果をふまえて、さまざま な生き物にとってより棲みやすい場所となるような維持管理を行うことが不可欠で す。そして、「ビオトープ」を管理することは、ただ生き物たちのためだけでは なく、私たちが自然生態系のしくみを理解し学習するための環境教育につながる のです。
 谷原親水広場は現在危機的状況にあります。毎月第2土曜の管理作業は、ボラン ティア不足で思うようにはかどりません。毎回ほとんどが植物の除去作業のみに 追われています。それでも植物の生育のスピードに追いつかず、このままでは、 水辺や砂礫地が消滅し、多様性が失われてしいます。
 現在までの4年間で(ウイングハット・春日部の警備員の方々のご好意で、貴重 なデータを得ることができています。この場を借りてお礼申し上げます)、野鳥 41種類、昆虫はトンボだけで10種類が確認されています。これらの生き物たち が、この広場を生息場所として棲み続けていけるよう、より多くのボランティア を募り、学校の環境教育の場としての活用を提言しつつ、担当である教育委員会 体育課とパートナーシップをとりながら、春日部市民に広く愛され、将来に受け 継がれていく自然となることを願って、活動を継続していかなければならないと 考えます。
 是非とも、会員の皆様の、管理作業ボランティアへのご参加を心よりお願い致し ます。

★平成16年度活動報告×


☆定例古利根川自然ふれあい観察会 
毎月第3日曜日 10回(雨天により中止・2回)
☆谷原親水広場ビオトープ 自然観察&管理作業
毎月第2土曜日(1月・8月を除く)8回(雨天により中止・2回)
☆内牧公園 樹木の名札付け
奇数月の第2土曜日(1月を除く)4回(中止1回)
☆谷原親水広場 夏休み子ども虫取り大会(教育委員会後援)8月14日
☆中央公民館主催の観察会・講師
4月24日 春の野草観察(中央公民館〜八幡神社)
2月 5日 野鳥観察(公園橋付近)
☆市環境保全リーダー養成講座・講師
10月31日 春日部市の自然環境(室内)
11月 7日 野外観察・谷原親水広場
☆学校・環境学習・講師 3校・3回
5月14日 庄和町中野小5年 校庭の野草観察
5月26日 大場小3年 昆虫の話
6月28日 豊野小5年 野外自然観察(野草・野鳥・昆虫)
☆県下一斉ガンカモ調査参加
1月 8日 古利根川橋(4号バイパス)〜公園橋
☆古利根川一斉清掃参加
3月13日 藤塚橋下流右岸(カワセミの森のゴミひろい)
☆古利根・中川環境ネットワーク
4月11日 古隅田川ウオークアンドウオッチ
6月26日 交流会参加
3月 6日 中川ウオークアンドウオッチ
☆春日部市環境フェアー参加
11月23日 春日部の自然 パネル展示・活動紹介
☆春日部市遊学フェスティバル参加
11月27日・28日 春日部の自然 パネル展示・活動紹介
☆生活クラブ生協・庄和地区 自然観察会協力 2回
11月21日・3月25日 
☆雑学大学 自然観察会協力
3月29日 一ノ割駅〜古利根川〜藤の牛島駅
☆あゆみ幼稚園・散歩サークル 自然観察会協力 6回
☆支部役員研修
1月29日 猛禽類の観察・渡良瀬遊水池
☆支部報発行・年1回(4月)