2007年4月発行

支部長挨拶

                 

支部長 三好あき子

 支部長という役割をいただいて5年、いろいろな機会に自然を見つめながら歩くチャンスを得ました。そして歩くたびに新しい発見がありました。
 優雅に舞うジャコウアゲハと毒を持つ草ウマノスズクサとの不思議な関係、スズメノエンドウが種を飛ばす面白い仕組み、ミズキの枝から滴る水滴。
 知れば知るほど面白く、また、いろいろな場面で伝えたいと思うことでもありました。
  ***
 2006年度は支部の仲間も増え、春日部散歩、市の環境出前講座など、新しいことが始まった一年でもありました。
 また、新聞連載という場もいただきました。拙いながら、小さな発見を伝え、身近な自然に目を向けるきっかけになったらうれしいと思い、書いています。
  ***
 また新しい一年が始まります。今年度も仲間とともに自然のすばらしさを実感できる一年であってほしいと希っています。



 

「古利根川の自然ふれあい観察会」から

                                                

小沢 典夫

 2006年度、古利根川では毎月第4日曜の定例観察会を11回、その他の水鳥調査などを含めると計13回の行事を行い、約210人の皆様にご参加いただきました。以下は、毎回の観察会の記録です。

 4月23日 曇 16人(内ジュニア1人)水質:測定せず
 草の緑が濃くなった川の堤防を上流方向へ。水鳥はカイツブリとカルガモにヒドリガモ・コガモが少し残るだけだが、土手の草花はにぎやかだ。カラスとスズメのエンドウ、シロバナタンポポ、ノゲシ、キュウリグサ、ヘビイチゴ、オニタビラコ、コイヌガラシ、トキワハゼなど。川久保公園前の葦原で今年もノウルシを確認。

 5月28日  雨天のため中止

 6月25日 曇 13人(内ジュニア1人)水質:測定せず
 梅雨の中休み、水量が増した川沿いを上流へ。堤防の道ばたでオオバコやマメグンバイナズナの花、斜面にネジバナの花、ゆりのき橋の湿地ではアゼナルコとチジミザサの穂。川久保公園の水路にハンゲショウが茂り、池のアシ原ではオオヨシキリの雄2羽が縄張り争い。解散後、有志が植生管理地でセイカタアワダチソウの除去。

 7月23日 曇 15人(内ジュニア1人)水質:COD7ppm,DO5ppm,透視度50cm
 梅雨は空けないが中休み。右岸を上流へ。ヤブガラシの花に蝶と蜂、緑中わきの水路にハグロトンボが10頭余り、草むらにショウリョウバッタ、川の水面でヒシとカイツブリの親子、川久保公園の池でシオカラトンボトとコシアキトンボ。公園でオオブタクサを抜き取り解散。

 8月27日 曇 14人(内ジュニア1人)水質:測定せず
 夏の草刈り後の堤防を上流へ。今回は水際の葦まで刈られ、ゴミが目立って‘拾い甲斐’あり。その水際で雌雄が連結産卵するギンヤンマ。土手はキツネノマゴの花盛り、ショウリョウバッタが多数。桜並木ではアメリカシロヒトリ幼虫が大発生。川久保公園付近の川辺でゴキヅルの花と実、近くにイチョウウキゴケも。公園の池ではタコノアシが花をつけていた。野田線下流で特定外来植物のミズヒマワリが繁茂し、除去対策が必要だ(河川事務所に申し入れ)。

 9月24日 晴 13人(内ジュニア1人)水質:測定せず
 風が涼しくさわやかな陽気。秋の虫取りをしたが、草刈り後の土手の草があまり育っておらずバッタが例年より少ない。ゆりのき橋の湿地でヤナギタデとニオイタデの花。渡りの途中のカケス。川久保公園で捕まえた虫を確認。トンボの仲間が多く、ノシメトンボ、アキアカネ、ナツアカネ、マユタテアカネ、シオカラトンボ、アジアイトトンボ。公園の池で飛ぶギンヤンマも。植生管理地でセイタカアワダチソウとオオオナモミの抜き取り。

10月22日 晴  9人(内ジュニア1人)水質:測定せず
 暑からず寒からずの陽気、上流へ。土手はヨメナとイヌタデの花、チカラシバやエノコログサが伸びる。川にはコガモとヒドリガモが各20羽ほど、イカルチドリが2羽、オオバンが1羽。川久保公園の池ではタコノアシが赤くなり、川の中洲ではキタミソウが多数花をつける。植生管理地でセイタカアワダチソウを抜き取り。

11月26日 曇 13人(内ジュニア1人)水質:COD5ppm,DO6ppm,透視度50+cm
 風はないが結構寒い。今月から冬の左岸・下流コースを歩く。干潟ではカルガモの群にコガモとユリカモメが混じる。下流へ向かうと夏の間にたまったゴミが散乱、大量に回収。かわせみの森でカワセミが1羽、森にはツグミ、オナガ、カワラヒワなど、水辺にはアオサギ、ダイサギ、イカルチドリなど。水辺のキタミソウも健在。

12月24日 曇 15人(内ジュニア人)水質:COD5ppm,DO6ppm,透視度50cm
 北風が吹き少々寒い。先月初めて参加した方がお友達を連れてきてくれた。今日も冬のコース、左岸・下流へ。コガモの中にハシビロガモのメスが1羽、草を食べている。と、猛禽類が頭上を通過!オオタカだったようだ。遠くにいたユリカモメが、何かくれるかとわれわれのそばまで来た。対岸ではカワセミが葦に止まって動かない。

 1月 6日 雨  7人(内ジュニア0人)水質:測定せず
 雨天だったが、県下一斉のガンカモ類調査に参加し、古利根川橋(赤沼)〜橋上公園(粕壁)間で水鳥のカウント調査を実施。確認できたカモ類はヒドリガモ111羽、カルガモ81羽、コガモ79羽、ハシビロガモ7羽の4種278羽で、前年(6種、292羽)に比べ種類・個体数ともに少なかった。他の水鳥はカワウ16羽、カイツブリ4羽、イカルチドリ14羽など。かわせみの森でオオタカの成鳥が1羽、じっくり観察。

 1月28日 晴 19人(内ジュニア1人)水質:COD5ppm,DO8ppm,透視度50cm
 風がなく穏やかな陽気。上流左岸の干潟でカルガモ・コガモ・ハシビロガモの群、桜並木でジョウビタキとアオジ。下流ではヒドリガモ30羽ほどの群、かわせみの森で生殖羽がきれいなカワウ、オナガの群。水辺のキタミソウは暖冬のせいか花が多い。春日部霊園の手前の草むらでベニマシコの雌が1羽、これは観察会初記録。

 2月3日 晴 37人(内ジュニア1人) 水質:測定せず
 今年も中央公民館主催の野鳥観察会を公園橋付近で。前日の北風が収まり陽射しもあって暖かい。近くの電線に止まったユリカモメをまず観察。河川敷の草地にいるムクドリやツグミ、民家の山茶花に来たメジロ。川のなかにはコガモ・ヒドリガモやカワウ、公園橋の上流にはオオバンも。探鳥は初めての方もいて楽しんでいただけたようだ。

 2月25日 晴 17人(内ジュニア1人)水質:COD5ppm,DO8ppm,透視度50cm
 昨日から急に冷え込み、晴れているのに突き刺さるような寒気。上流の干潟でハシビロガモとコガモが丸くなって寝ている。下流へ向かい、キタミソウの花を観察。ヒメオドリコソウとホトケノザも咲く。モズの雌が民家の松の木でワンマンショー。葦原にはオオジュリンの群。鳥は多くはなかったが、ゆっくりと観察できた。

 3月25日 ? ?人(内ジュニア0人)水質:COD?ppm,DO?ppm,透視度??cm
 【終了後に原稿提出。以下は前年の例】・・一斉清掃の後の古利根川はゴミが少ない。藤塚橋上流の干潟ではカルガモ・コガモ・ヒドリガモが40羽ほど。桜の花芽が膨らみ、土手にはオオイヌノフグリとホトケノザの花。下流に向かい、かわせみの森にカワウ10羽ほど。お彼岸の墓参りで土手を通る家族づれが多い。*2月まで参加203人

○活動の総括など
 2年前に埼玉県及び春日部市と協定と結んだ「水辺の里親」制度の河川清掃ボランティア活動も、継続しています。懸案だった流作跡地の残土は、市当局のご尽力で撤去されました。それらを含めて、古利根川の観察会は概ね順調に進んでいます。

 ひとつだけ悲しいことがありました。私たちの仲間で観察会の常連だった飯山健次郎さんが、昨年12月に亡くなりました。
 飯山さんは、10年ほど前からこの観察会に参加されるようになり、数年前からは水質検査の指導者として参加者に手ほどきしてくださいました。とても世話好きな方で、初めて参加した人にも気さくに声をかけ、よもやま話(多くは生き物と関係ない内容の)で盛り上げながら、観察会の雰囲気を和ませてくれました。
 享年63歳、まだまだお若く、惜しまれるご逝去でした。飯山さんのお墓は、古利根川のほとりの林西寺にあるそうです。冬の観察コースの対岸に見えるお寺です。これからも古利根川のほとりで、川の様子や私たちの観察会を見守っていただきたいと思います。

 07年度も、毎月第4日曜日に「古利根川の自然ふれあい観察会」を続けていきます。一人でも多くの皆様にご参加いただき、古利根川の自然に親しんでいただきたいと思います。これからも、どうぞよろしく。

事件は現場で起きていた2

               

輪島 正

                               
 観察会の現場は楽しい。春は野の花、夏から秋にかけては昆虫、秋から冬にかけては樹木や鳥、そのほとんどで新たな出会いがあり、驚きがあり、感動があった。だが、参加した観察会は一人で出掛けたものも入れると30回を超えるのに、なかなか名前を覚えられない。植物は花の色や形が似たものが多いし、昆虫や木の名も聞いた尻から忘れる。仕方がないか、どうせ専門家になる訳ではないのだからと自分を慰める他はないのだろうか。これからも数多く現場に出掛けたいと思う。その現場では事件も起きていた。
 事件その1:特定外来生物
 平成17年10月1日施行された法律の正しい名称は、『特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律』と言う。ながあー。特定外来生物を、飼育、栽培、保管及び運搬すること、輸入すること、野に放つ、植える及びまくことが禁止され、違反した者が個人の場合は最高三年以下の懲役、三百万円以下の罰金が科されることとなった。その特定外来生物に指定されているミズヒマワリが古利根川でも見つかったのである。私達が普段目の敵にしているセイタカアワダチソウはオオブタクサと並んで環境省が別に定める「要注意外来生物リスト」に指定されている。そのリストには観察会ではおなじみのハルジオンやヒメジョオン、アメリカセンダングサなども含まれているのである。そして、これらの外来生物は日本の在来種に比べて異常なほどに繁殖力が旺盛であった。
 事件その2:絶滅危惧種
 古利根川沿いの川久保公園や谷原ビオトープに移植されたナガボノシロワレモコウは元気に花を咲かせた。谷原ではアサザが花をつけ、川久保公園ではタコノアシやハンゲショウも無事であった。11月には川久保公園近くの川原でキタミソウが群落をつくっていた。これらの植物は埼玉県のレッドリストに載っている絶滅が心配されている植物である。今、多くの動物や植物が絶滅の危機に瀕している。埼玉県のレッドデータブックには、動物709種、植物832種が掲載されているのだが、植物で春日部市内で確認されているのは10種ほどだろうか。探せばもっとあるのかも知れない。動物のうち鳥類は、観察会で見られる殆どの野鳥が絶滅危惧種なのだ。6月には庄和地区での調査中にジャコウアゲハが繁殖しているのを発見した。その後市内の2ヶ所でもジャコウアゲハの生息が確認されているのだが、彼等の成育環境は苛酷なものであった。
 事件その3:ごみ
 3月に行われた古利根川一斉清掃では、かわせみの森のごみの回収作業に参加した。ごみ収集車1台分はあろうかという大量のごみが回収された。また、秋から冬にかけては岩槻大戸のおそうじ隊に参加して、不法投棄のごみ整理のお手伝いをした。いずれの現場でも不法に投棄されたごみは半端な量ではなかった。埼玉県生態系保護協会の現会長池谷奉文氏は、県民環境カレッジの基礎コースで、「環境問題とは即ちごみ問題である」と喝破されたが、実際にごみの山を目の前にすると、その言葉を実感出来る。
IPCCは最近の報告書で、過去100年で世界の気温が0.74度上昇したのは二酸化炭素の排出など、ほぼ間違いなく人間活動が原因だと結論づけた。もちろん人間活動が原因なのは地球温暖化だけではない。
これらの三つの事件が解決の方向に向かうかどうかは、私達の生き方にかかっているのだと思う。


「北九州に行ったら・・」

               

並木 章

 毎月、(財)埼玉県生態系保護協会春日部支部が主催する「古利根ふれあい自然観察会」
に参加して3年が経ったころ、北九州に転勤になり、この春、ふたたび春日部に戻ってきました。
単身赴任だったので、土曜、日曜はもっぱら、外に出かけ、野草や野鳥を一人で観察しました。 ただ、今までに見たこともない植物や鳥などに出くわすと、「こんなとき、古利根ふれあい自然観 察会の人たちと一緒なら、教えてもらえるのになあ。」とため息をつくことが何度もありました。
 春日部と北九州ではだいぶ自然の状況が違います。
 春には、白いタンポポ(シロバナタンポポ)が多く、黄色いのもありますが少なめです。 手入れが届いていない空き地では必ずと言っていいほど、四角い茎の「柳花笠」が群生しています。 住宅地でも、桜の樹にはコゲラがやってきます。 春日部の自然観察会で覚えた「灯台草」や「八重葎」を見つけたとき、そして「河原鶸」の声を 聞いたときは本当にうれしく思いました。
 夏、春日部で蛍が見られるところは限られていますが、北九州市内では、どの川でも蛍が飛び交う といった感じで「ほたるマップ」が各駅に置いてあるくらいです。 関門海峡へ注ぐ川で、偶然ですが、蛍が袖口にとまり、目の前でピカーリ、ピカーリと 放った何ともいえない光に魅入ってしまいました。
 セミもアブラゼミより、シャワシャワと鳴く「クマゼミ」のほうが多い感じがしました。 天気の良い日には、ソアリングをしているトンビを間近に見たり、 一度会いたかった「黄鶺鴒」にも北九州で出会うことができました。
 北九州市は自然・環境の保護活動や各種観察会が盛んに行われており、春日部市との違いにも 気づくなど、たった一年でしたが、とても貴重な経験をさせていただきました。


バードウォッチング

               

三好あき子

生協の仲間に声をかけ、バードウォッチングをしました。初めての方が多く、楽しんでいただけたようです。感想をいただきましたので、紹介します。

ご夫妻で参加されたAさん
バードウォッチング・・・初めて参加してみてとても楽しかった!です。有難うございました。コサギ、カワウ、カイツブリ、そしてカワセミetc.・・・・嬉しい出会いの感動を忘れずに、今度は図書館で本を借りてもう少し勉強を深めます。

ご家族で参加のBさん
先日は有難うございました。その後、鳥を見かけると、こどもたちと「あれは○○だね」「これは××かな」と話しています。


 鷹場とその制度 

               

松本順吉

 家康は関東入国後、各地で鷹狩りをしている。とりわけ、越谷付近はお気に入りで、大相模不動尊には家康使用の「かいまき」が現存している。また、宿泊・休息施設として元荒川沿いに造った御殿場は、今日でも地名として残っている。
 三代将軍家光時代になると、諸制度や職制も整えられ、鷹匠や鳥見なども職制として確立した。また、御三家や有力大名にも特権として鷹場を与えた。
 五代将軍綱吉は「生類憐みの令」を出し、鷹場を廃止した。鷹は残らず伊豆の新島に放たれた。
 狩好き八代将軍吉宗が就任すると廃止された鷹場を復活させ、鷹場制度の充実をはかった。鷹場は次のように三区域に分けられた。
1.御拳場(おこぶしば)  江戸から五里(20Km)以内を将軍の鷹場に指定した
2.御留場(おとめば)   江戸から五里〜十里以内を先例に倣って御三家などに与えた
3.捉飼場(とらえかいば) 江戸から五里〜十里以内に鷹の実地訓練や餌の調達のための鷹場を作った(例外もある)
 鷹場はいずれも禁猟区で、鳥を驚かすことも厳しく禁じられ、村には取締りのために鷹番小屋を建てることを命じられた。(享保六年の鷹場についての高札が春日部市郷土資料館に展示されていた。)
 吉宗は鷹場の管理運営のため、鷹に関する職制や勤務場所なども充実させた。雑司が谷と千駄木に鷹部屋が設けられ、鷹匠などは二組に分けられた。各部屋には千石から二千石の旗本を鷹匠頭に充て、配下には鷹匠組頭、鷹匠、鳥見、餌指などがあわせて120名ほどいた。
 鳥見の職務は鷹場の整備のほか、治安維持も行った。なかには、職務柄在宅勤務の役人や世襲役人もいた。春日部市の内牧には鳥奉行といわれている家が今もなお存在する。
 餌指は鷹の生餌を調達する役人で、春日部ではロビンソン近くにいたという。
 幸手、杉戸、春日部、越谷の大部分は千駄木部屋の捉飼場とされ、久喜では河原井沼付近は千駄木部屋、吉羽付近は雑司が谷部屋の捉飼場に分かれていた。
 鷹場はいずれも領主と鷹役人に支配され、農民は殿のお遊びのために苦しめられたのである。
 明治になると鷹場制度は廃止された。野鳥の乱獲が始まり、多くの野鳥が消えた。鶴の飛来地が日本では二箇所のみになり、野鳥の保護は話題になったのは最近のことである。

自然保護活動と日常のライフスタイル

               

飯山健次郎

 平成17年10月、庄和町と春日部市が合併し、新春日部市が誕生した。新たな市として期待したいところである。
 しかし、自然保護面について関心はいまひとつでであり、進まない。自然の大切さをPRする努力も必要だ。
 私たちは毎月の定例観察会で「ゴミ」拾いをしているが、かなり「労多くして・・・」といった感がある。
 「過剰包装」と言う言葉は聞いても、他人事と受け取っている人が多いようだ。買い物袋を持参する運動もなかなか前へ進まない。
 先年、「MOTTAINAI−もったいない」という言葉が世界へと発信された。ライフスタイルを変え、物を大切にし、物を捨てない生活をしよう。日常生活を変えていくことは時間がかかる。しかし、大人たちが見本となり、未来のこどもたちへ伝えていくことが大切だ。

谷原親水広場

               

土田貴子

 ウイングハット・春日部(谷原総合体育館)の敷地内に親水広場が「ビオトー プ」として整備されてから、4度目の春を迎えました。
 「ビオトープ」とは[ビオ(Bio)生き物]と[トープ(Top)場所]を表すギ リシャ語を組み合わせた、ドイツで生まれた言葉です。日本でも、失われた生息 地を生き物たちに取り戻すための自然保護活動として導入され、徐々に各地に広 まりつつあります。
 谷原親水広場は、春日部にずっと昔からあった風景を再現し、違和感や特別な存 在感などなく、地域に溶け込み、なんとなくホッとするような、私たち人間に とっても優しく穏やかな空間です。
 自然はなるべく人間の手を加えてはならないと考えられがちですが、「ビオトー プ」は人間が創造した空間です。何もせずほったらかしのままでは、土砂が堆積 し、植物が生い茂り、ある一部の生き物だけしか棲むことのできない、多様性の ない自然になってしまいます。現存の生き物、新たに棲みつく生き物、逆に減っ ていく生き物等、継続して観察(モニタリング)した結果をふまえて、さまざま な生き物にとってより棲みやすい場所となるような維持管理を行うことが不可欠で す。そして、「ビオトープ」を管理することは、ただ生き物たちのためだけでは なく、私たちが自然生態系のしくみを理解し学習するための環境教育につながる のです。
 谷原親水広場は現在危機的状況にあります。毎月第2土曜の管理作業は、ボラン ティア不足で思うようにはかどりません。毎回ほとんどが植物の除去作業のみに 追われています。それでも植物の生育のスピードに追いつかず、このままでは、 水辺や砂礫地が消滅し、多様性が失われてしいます。
 現在までの4年間で(ウイングハット・春日部の警備員の方々のご好意で、貴重 なデータを得ることができています。この場を借りてお礼申し上げます)、野鳥 41種類、昆虫はトンボだけで10種類が確認されています。これらの生き物たち が、この広場を生息場所として棲み続けていけるよう、より多くのボランティア を募り、学校の環境教育の場としての活用を提言しつつ、担当である教育委員会 体育課とパートナーシップをとりながら、春日部市民に広く愛され、将来に受け 継がれていく自然となることを願って、活動を継続していかなければならないと 考えます。
 是非とも、会員の皆様の、管理作業ボランティアへのご参加を心よりお願い致し ます。

★平成16年度活動報告★


☆定例古利根川自然ふれあい観察会 
毎月第3日曜日 10回(雨天により中止・2回)
☆谷原親水広場ビオトープ 自然観察&管理作業
毎月第2土曜日(1月・8月を除く)8回(雨天により中止・2回)
☆内牧公園 樹木の名札付け
奇数月の第2土曜日(1月を除く)4回(中止1回)
☆谷原親水広場 夏休み子ども虫取り大会(教育委員会後援)8月14日
☆中央公民館主催の観察会・講師
4月24日 春の野草観察(中央公民館〜八幡神社)
2月 5日 野鳥観察(公園橋付近)
☆市環境保全リーダー養成講座・講師
10月31日 春日部市の自然環境(室内)
11月 7日 野外観察・谷原親水広場
☆学校・環境学習・講師 3校・3回
5月14日 庄和町中野小5年 校庭の野草観察
5月26日 大場小3年 昆虫の話
6月28日 豊野小5年 野外自然観察(野草・野鳥・昆虫)
☆県下一斉ガンカモ調査参加
1月 8日 古利根川橋(4号バイパス)〜公園橋
☆古利根川一斉清掃参加
3月13日 藤塚橋下流右岸(カワセミの森のゴミひろい)
☆古利根・中川環境ネットワーク
4月11日 古隅田川ウオークアンドウオッチ
6月26日 交流会参加
3月 6日 中川ウオークアンドウオッチ
☆春日部市環境フェアー参加
11月23日 春日部の自然 パネル展示・活動紹介
☆春日部市遊学フェスティバル参加
11月27日・28日 春日部の自然 パネル展示・活動紹介
☆生活クラブ生協・庄和地区 自然観察会協力 2回
11月21日・3月25日 
☆雑学大学 自然観察会協力
3月29日 一ノ割駅〜古利根川〜藤の牛島駅
☆あゆみ幼稚園・散歩サークル 自然観察会協力 6回
☆支部役員研修
1月29日 猛禽類の観察・渡良瀬遊水池
☆支部報発行・年1回(4月)