2008年4月発行 挨拶に代えて支部長 三好あき子 我が春日部支部は藤塚橋の下流、屋敷林があるところでの活動。ここは木が多いため野鳥が多く絶好の観察地点だが、木の根に引っかかっているごみが目立つ。これをどうにかしたいと数年前から参加している。 現場に入るとゴミ、ゴミ、ゴミ。缶、瓶、ペットボトル、カップラーメンの容器、食品トレー、ビニール袋、等々。これらは水に浮かび、ここに流れ着いた物だ。 * * * 私たちが拾い集めたごみはゴミ袋に百くらいはあったろう。しかし、ここに引っかからなかったごみはそのまま海へと流れ、いつまでも漂っている。水に浮いた発泡スチロールを餌と間違え飲み込んだ亀は消化できず、排泄もならず、餓死したと聞く。 私たちが今、使っている容器や包装資材は丈夫で腐りにくい。大変に便利な資材だが、それがごみになるととても困ったものになる。水に浸かっても溶解することはないし、そう簡単には土に返りはしない。 * * * 便利さと引き換えに、私たちが他の生物にしていることは何なのだろう。同じ地球の上で暮らし、ともに生きる仲間に私たちがしている仕打ちは何なのだろう。もう一度、考えなくてはいけない時が来ている。 |
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「古利根川の自然ふれあい観察会」から小沢 典夫 007年度「古利根川の自然ふれあい観察会」の報告 2007年度、古利根川では毎月第4日曜の定例観察会を10回、その他の水鳥調査などを含めると計13回の行事を行い、200人余りの皆様にご参加いただきました。 4月22日 曇 22人(内ジュニア1人)水質:COD10ppm,DO7ppm,透視度46cm 5月27日 晴 18人(内ジュニア1人)水質:COD5ppm,DO6ppm,透視度46cm 6月24日 曇 17人(内ジュニア1人)水質:COD8ppm,DO5ppm,透視度52cm 7月22日 曇 9人(内ジュニア0人)水質:COD7ppm,DO5ppm,透視度52cm 8月26日 晴 8人(内ジュニア0人)水質:COD10ppm,DO5ppm,透視度52cm 9月23日 曇 15人(内ジュニア1人)水質:測定せず 10月22日 晴 15人(内ジュニア2人)水質:COD20ppm,透視度15cm 11月25日 晴 12人(内ジュニア0人)水質:測定せず 12月23日 雨天中止 1月12日 雨 6人(内ジュニア0人)水質:測定せず 1月27日 晴 17人(内ジュニア0人)水質:COD10ppm,DO5ppm 2月2日 晴 45人(内ジュニア3人) 水質:測定せず 2月24日 強風のため中止 3月 9日 晴 16人(内ジュニア0人) 3月23日 晴 16人(内ジュニア1人)水質:COD5ppm,DO7ppm,透視度46cm |
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春日部散歩柳澤 一重 2006年12月から毎月一回(原則第3木曜日)、「春日部散歩」と称し、生物調査しながら歩いている。今年度は11回歩き、カワセミが6回見られた。しかし、以前は市内でよく見かけたシラコバトは2回しか出現せず、いつの間にか珍しい鳥になってしまった。 一方、植物では絶滅危惧種に指定されているオオアブノメやヒメミソハギ、タコノアシなどを観察することができた。 ・4月19日(豊春〜花積〜古隅田川:ムラサキケマン、ウワミズザクラ、キジ) ・5月24日(古隅田川〜下蛭田〜増戸:コイヌガラシ[NT]・イチョウウキゴケ[VU]、シジミ貝、ホウネンエビ、カブトエビ、タマカイエビ) ・6月26日(豊町〜岩槻長宮〜下大増新田〜ウィングハット:オオアブノメ[EN]、ミゾハコベ、キジ) ・7月19日(武里〜せんげん堀〜増田新田:巣立ちした燕の親子、ミソハギ、アピオス) ・9月20日(越谷の平方〜松伏緑の丘公園:ヒメミソハギ[NT]、ヒヨドリジョウゴ、シラコバト) ・10月18日(赤沼〜銚子口〜藤塚:エビスグサ、ツルフジバカマ、ワレモコウ、ツマグロヒョウモン) ・11月15日(豊野〜藤塚〜牛島:トネリコ、ツルマサキ、) ・11月28日(庄和総合公園:センニンソウ、タコノアシ[EN]、カワセミ) ・12月20日(豊野〜赤碕〜南桜井:タヒバリ、ホオアカ、タゲリ、アオツヅラフジ) ・1月22日(南桜井〜江戸川〜龍Q館〜正風館:アカハラ、オオタカ、シロハラ) ・2月27日(龍Q館〜庄和北公民館:オオジュリン、イヌエンジュ) [EN:絶滅危惧TB、VU:絶滅危惧U、NT:準絶滅危惧] 春日部散歩に参加して須田恵子(幸手市) 自宅近くの倉松川で見たスズメのような鳥が「カワラヒワ」や「オオジュリン」、「ホオジロ」、「タヒバリ」と区別できるようになったのも春日部散歩の折に教えられたからです。鳥でも草でも名前を知っているのと知らないのでは楽しさが違います。 散歩で新鮮な空気を吸い、気分さわやか清々とし、健康によく、勉強になり、何より一人では味わえない楽しい充実した時間を過ごせます。帰途では少しの疲れも心地よく、次回もぜひ参加したいと強く思うのです。 |
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光の森アリスとともに三好あき子 時々私たちの活動に参加してくださるTさんから、ボランティアでかかわっている「光の森アリス」の人と自然観察会を企画したいのだが、と相談があった。「光の森アリス」は中途視覚障害者の団体ということで、全盲の方も、弱視の方もいるという。私たちに何ができるか、少々戸惑いもあったが、そういう方たちにも自然の中を歩く楽しさを知ってもらえたらうれしいと思い、協力することにした。
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自然のイルミネーション青柳 雅子 昨年も様々な出会いがあった。蛍もその一つだ。初めて出会うまで、蛍は私の中では伝説の生き物だった。毎年見る某ホテルの「ホタルの夕べ」のチラシを見て「ホタルはもうこういう場所でしか見られないのだろうか?」などと思い、行こうか行くまいか悩みながら蛍に会いたい気持ちを募らせていた。 昨年夏、北本自然公園で念願の蛍に出会うことができた。暗闇の中を舞うたくさんの蛍のイルミネーションに、夢ではないかと目を疑い、ただただ感動し、しばしその舞に酔いしれた。都会のイルミネーションしか見たことがなかった私の目には、蛍がかもしだす自然の光は幻想的で格別なものに映った。春日部でも、私たちが保全活動をしているウィングハット春日部の親水広場のビオトープに蛍の光が瞬いた。これは市民に親しんでもらうために、近隣の蛍を育ててを放したもので、私もその1、2匹を見ることができた。ここで自生してくれるといいなと思うが、繁殖力の弱い蛍がここで生きていくのは大変なことのようだ。 新聞に「手に蛍を乗せてあげようとしたら子供は怖がり手を引っ込めた」という記事が載っていた。どうやら蛍の光を見て「熱いのでは?」と思ったらしい。なるほど、そういう風に思うのも無理はない。蛍が光を出す構造、これも不思議ですごいことなのだ。 自然は本当に偉大で奥行きが深い。そして、自然は私たちに「不思議」と「美」をプレゼントしてくれる。そんな自然を大切にしなければとしみじみ思う。 今年も様々な出会いに心ときめかせ、プレゼントに感謝の気持ちをこめて、自然保護の活動を続けていこうと思う。 ごめんね、カモさんたち土田ひかり(10歳) でも、古利根川の観察会に参加するようになってからは、人間が餌を野生の生き物にあげることによって人間になれてしまうと野生で生きていくための力がにぶってしまったり、悪い人間につかまってしまったり、ふえすぎて自然のバランスが崩れてしまうなど、困ったことがたくさんおきてしまうことを知りました。私はカモにいい事をしてあげているつもりだったのでとてもショックでした。それからはカモに餌をあげたくても あげるのをやめるようにしました。そのかわりにゴミを拾ったり、植物を保護したり、生き物たちのために私に出来ることはたくさんあります。 先日久しぶりに大池親水公園に行ったら、家族で楽しそうに餌をあげている人がたくさんいました。小さい頃の私のようにカモたちが喜んでいると信じていることがよく分かりました。本当はカモや他の生き物たちが困っていることをみんなに分かってもらえたらいいなと思います。 事件は現場で起きていた(3)輪島 正 その一 小学校で春日部市の環境学習出前講座は2年目に入り自分も8校の出前講座に参加した。小学4年生に少しでも自然を感じてもらおうと、植物に触ってもらったり、絶滅危惧種の保護活動の話などをした。 出前講座のあと数日後に子供たちからお礼の手紙が届いた。クラス全員が書いたと思われるその手紙には出前講座で始めて分かった「ねこじゃらしが本当はエノコログサという名前である」ことや、「生物の中には絶滅しそうな種類もある」ことなどが、驚きの言葉とともに綴られていた。 担当したおじさんにとっては、確かな手応えを感じられる嬉しい手紙であった。更にその手紙には、「自分達も環境をテーマに取組んでいて、発表会をするので見に来てほしい」と書かれてあった。 是非行かねばなるまい。きっと自然環境の大切さに気が付いてくれたに違いない。身近な生物について調べてくれたグループもあるんだろうな。 発表会の当日、高鳴る胸を抑えつつ、学校に向った。最初の発表は水やゴミがテーマで、次のグループもリサイクルがテーマ。なかなか自然環境のテーマが出てこないと思い、発表待ちをしている一団に、生き物について取組んだグループがあるのか聞いてみたら、可愛い女の子の4人組がハーイと言って手をあげた。ウフフ、やったぜ、ついに待ちに待ったその時が来たな、どんな生き物に取組んでくれたんだろう、どんな発表が聞けるんだろうとワクワクしながら、見やすい場所に陣取ったのだが、次の瞬間言葉を失った。 黒板に張り出された模造紙には大きな字で、「恐竜はどうして絶滅したのか」と書かれていたのだった。「・・・・・」 その二 ジャコウアゲハ一昨年の夏、龍Q館の近くで観察中に偶然ジャコウアゲハを見つけた。蝶が飛んでいる辺りの水路の土手に幼虫の食草ウマノスズクサが生えている。良く見ると卵があり、その近くでは幼虫も数匹確認出来た。 ジヤコウアゲハはアゲハチョウの1種で、埼玉県のレッドリストでは準絶滅危惧種に指定されている。 これは一大事、土手の草は時々刈られるから、保護に乗り出さなければ。案の定その年は3回ほど草刈が行われ、その度にジャコウアゲハの幼虫は命を落としたに違いなかった。それでもその年の冬にはすぐそばのエノキで数個の蛹が越冬し、初夏には無事に羽化して飛び立った。 翌年春、水路の管理事務所を訪問、土手の一部の草刈をしないよう申し入れ、ロープを張ってウマノスズクサの保護に乗り出した。夏の間自分達で草刈を行い、ジャコウアゲハの世代交代も順調に行われたようであった。 その後、支部の行事などで暫く足が遠のいていたが、十月初めに行ってみて驚いた。現場からウマノスズクサが姿を消している。この時期に幼虫が見つからなければ、越冬する蛹はゼロかも知れないと心配になった。 冬に再訪すると、幸いにも数個の蛹が越冬中で、近くの電柱にまで蛹を発見、ひとまず胸をなでおろした。
オナガ佐藤 英行 庭を眺めながら、いつも来る鳥が最近姿を見せないな とこのところ思っていたところ
スズメを通して思うこと内田 清貴(上尾市) スズメは珍しい鳥ではない。電線に止まっている一羽のスズメを見かけたとしても、それをフィールドスコープや双眼鏡でじっと見つめる人は多くはないだろう。 <引用・参考文献> 日本人と桜松本順吉
ツミ(鷹の仲間)が庭に来た。
柳澤 一重 正月の5日、朝食を済ませて居間の椅子に腰掛け、庭に目をやる。「鷹がいる!」一瞬目を疑った。まさかの出来事である。しばらく身動きできず、家族を呼ぶのもためらっていた。何か獲物の肉を食いちぎっているので、カメラを取り出し撮影したのがこの写真。2時間以上この格好で食事をしていた。
近頃春日部八幡神社の森で毎年子育てをしているようだが、本来は夏の渡り鳥のようだ。ツミもこの辺りで冬を快適に過ごせるようになっているのだろうか。
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★平成19年度活動報告★今年度も定例的に実施している観察会を中心に春日部の自然環境の調査、勉強を続けてきた。 また昨年度から市の環境保全課が行う市内の小学校児童むけの出前講座は、これからの環境問題への取組みとして大変有意義な活動の一つとなると思い、講師を派遣してきた。純真な子どもたちから大人へ自然の大切さを訴えていくことで、大人の意識を変え、生活を変えていくことにつながればと考えている。 ☆古利根川自然ふれあい観察会 |