2003年4月発行

支部長挨拶

                 

支部長 三好あき子

  立春が過ぎると風の冷たさは変わらないのに日差しが変わり、草の芽はいち早くそれを感じ取ります。私たちがまだまだ寒いと言っている頃、オオイヌノフグリやホトケノザは春を告げてくれます。 立秋は8月初旬、まだまだ暑い盛り。でもふと秋の風が吹き、秋の渡りの鳥たちがやってきます。 季節の小さな移り変わりに自然の営みを感じます。
 2002年、支部長と言うバトンを受取り一年が過ぎました。気がついてみれば春日部支部は満10年、2003年度からは11年目の活動になります。
 初代新津八重子さん、2代松本順吉さんとともに、自然の楽しさ、大切さを伝える活動を続けてきました。
 今年は新たに、谷原ウィングハット親水広場での観察会、古利根川を上流から歩いてみようという観察会も予定しています。これらの活動は自然を守り育てる第一歩と考えています。
 春日部のたんぼは米という食糧を供給してくれるばかりでなく、春日部のむかしの自然を伝えているものでもあるのです。めだかや赤とんぼ、蛍がいたのは遠い昔ではないはずです。身近であったはずの自然を本当に身近なものにしたいと考えます。


 

「古利根川の自然ふれあい観察会」から

               

小沢典夫

 「古利根川の自然ふれあい観察会」が始まったのは1995年の4月ですから、早いもので、もう丸8年が経ちました。
 今年1年間では、毎月第3日曜日の定例観察会のほか、春日部市などが主催した行事も含めると合計14回の観察会を行い、270人余の参加者がありました。(各月の詳細は 活動案内の報告2002年度をご覧下さい)
  この1年間をふり返ると、川久保公園の池で稀少種のオオアブノメとシャジクモが見つかり、その池のわきに私たちが市内工事予定地から移植したナガボノシロワレモコウが活着し、また、12月には藤塚橋の近くにコハクチョウが現れ、ミコアイサ雌1羽が越冬するなど、一段と生物の多様性が認められました。古利根川もなかなか捨てたものじゃない、と実感される1年でした。
 2003年度も、この古利根川で“自然とのふれあい”の活動を続けていきます。どうぞ、よろしくお願いします。


自然観察会の感想

               

フリースクール「りんごの木」

 フリースクールりんごの木では、古利根川流域自然観察会にスクール生とスタッフがこの一年間参加させていただきました。会の方々にはいろいろ教えていただき、たいへんお世話になりました。以下は参加者たちからの感想です。

スクール生
・なかなか川辺を歩く機会がなかったから良かった。
・ゴミが多かった。
・草や鳥をたくさん見られた。
・道端にトイレが欲しい。体調が悪いと安心できない。
・あまり見ることのないカワセミが見られて良かった!
・ゴミ拾いがけっこう楽しかった。
・今まで鳥たちや草花をじっくり見ることなんてなかったから楽しかった。会の人たちが特徴や生態などを詳しく教えてくれたのは、とてもためになった。

スタッフ
・夏だったので渡り鳥はいませんでいたが、おたまじゃくしやアメンボなど水辺の生物がいて、子どもたちが喜んでいました。
・毎月何が見られるかと楽しみに参加した一年でした。一ケ月という時間は、よく見ると驚くほどまわりの景色が変わっていました。説明を聞かなければ決して見ることができなかった「北見草。最後まで会えなかった「カワセミ。もうこれ以上この自然を壊すことは許せない、させてはいけないとの思いを大きくしました。
・土手を舗装して歩きやすくすることが生態系にとってはどうなのかということを初めて考えました。一瞬頭上を飛び去っていく、ただの黒い影にしか見えない鳥の名を言い当てる会の役員の方々に驚き、何の変哲もないような草の細かい花をルーペで見せてもらってその美しさに感心しました。
(まとめ:フリースクールりんごの木 シーザー)

「りんごの木」はNPO法人「越谷らるご」の運営するフリースクールです。学校以外の子どもの居場所として、スポーツ、学習、表現活動などいろいろな活動を行っています。


自然観察会に参加して一年

               

並木 章

 「古利根川の自然ふれあい観察会」に参加するようになって1年が過ぎました。
 自然観察会は、毎月第3日曜日、朝9時半、古利根川の藤塚橋 (東武伊勢崎線一ノ割駅から東方向に徒歩5分)からはじまります。
 この観察会の案内は(財)埼玉県生態系保護協会発行の「ナチュラルアイ」にも 毎月出ており、そのお誘いの文句にひかれて参加してきました。
 どんなお誘いかちょっと紹介しましょう。
 寒い2月は「古利根の土手にもあるよ、春の七草」、 新緑がまぶしい5月は「古利根は水草茂り、ヨシキリ歌う。」、 朝から暑い8月は「古利根は風涼し(だといいな!)せみしぐれ」、 そして澄んだ青空の11月は「古利根の秋のフィナーレ、木樹の彩り」。
 この1年で春日部で見られる野鳥をたくさん見ました。 まだ、出会えていない野鳥は「シジュウカラ」、「メジロ」、「コゲラ」、「ジョウ ビタキ」、「ウグイス」そして「チョウゲンボウ」たちです。  「えっ!メジロ、見てないの?毎日うちの庭に来てるわよ。」と言われてしまいま したが、 いつかあの白い目をこの目で見たいものです。
 最近、うれしいことがありました。電線にスズメが何羽も並んでいる中に、 一羽のモズを見つけたのです。少しは野鳥を見る目ができてきたのかな?
 少しでも、野鳥や植物の名前を覚えるとあちこち行きたくなるもので、 この1年間で春日部市内の「ウイングハット」、「内牧公園」、「八幡神社」、「大池親水公園」そしてもっと足をのばして、「川口自然公園」、「赤羽自然観察公 園」、「足立区都市農業公園」などにも行ってしまいました。
 「古利根川の自然ふれあい観察会」との出会いでこんなに休日の過ごし方が 変わるとは思いませんでした。
 そして、歩道に生えている野草にも目がいくようになり、 「スズメノカタビラはいつも頑張ってるなあ。」などと独り言を言っては毎朝の通勤 途中、 野草から元気をもらっています。
 先日の観察会の時です。
 「ミコアイサがいるよう・・・」
 「ミ・コ・ア・イ・サ?」
 「どんな字を書くんですか?」
 「巫女さんの巫女と秋と沙」
 「雄だと白くてもっといいんだけどねえ。」
 「秋沙」とはガンカモ目ガンカモ科の鳥だそうです。
 このように、毎回新たな発見があるから、1年も続いたのだと思います。
 今年も、お誘いの文句にひかれながら、「メジロ」や「チョウゲンボウ」との遭遇を期待しつつ自然観察会に参加したいと思います。


古利根川一斉清掃

               

三好あき子

 第30回古利根川一斉清掃が3月23日行われました。
 これは4月になると古利根川の水位が上がるため、その前に皆で清掃しようと春日部コミュニティ推進協議会が呼びかけ、自治会や団体が自主的に参加しているもので、今年も生態系保護協会春日部支部と春日部の川クリーン会が協力して清掃しました。

 当日は風もなく穏やかな日で清掃活動にはうってつけでした。参加者は18名(生態系7名、クリーン会8名(含む兼任)、その他6名)で8時から始めました。清掃箇所は藤塚橋下流右岸の、屋敷林が古利根川にかかり、鳥などの生き物が多く生息する場所です。屋敷林に入ると早速カワセミが出迎えてくれました。綺麗にする間入るのを許してねとしばらくうるさいのを我慢してもらって、川岸へ降りて清掃。缶や瓶、肥料のビニール袋、タイヤなどが目立ちます。今年は冬に雨が多く、いつもの年より水位が高かったせいで足もとが悪いところが多くありました。泥まみれのごみは臭く、また重さもこたえます。ひとしきり拾って詰めたら今度は運ぶ番。川から4号国道の傍まで皆手際よく運びます。見る見る間にゴミの山ができて、気がつけば10時半。ゴミの山の前で記念写真を撮って「お疲れ様!」解散です。初めて参加した去年から見たらゴミの量は半分。2年続けてやった成果でしょう。

 この行事は同日に宮代町・松伏町でも行われ、松伏町では堰に溜まったゴミを取り除いているとのこと。  海に流れていってしまうゴミを少しでも減らせたでしょうか。


「自然環境保全」社会の意識を変えていくための啓蒙活動について

               

飯山健次郎


 「自然との共栄」が地球上の最大の課題になっている。地球がある限り、人間が住 んでいく限り、永久的に続くテーマである。20世紀の物質文明から21世紀の精神 文明への変化が各分野で見られてきている。私たちの周辺も変化していることを感じ ている。法律や制度が新しく変化導入され、私たちがライフスタイルを変えざるを得 ないことを知らされ始めている。ゴミの発生を抑制する運動、ゴミの持ち帰り運動、 リサイクル運動等も進んだ方向にある。リサイクルショップの利用も良い例であると 実感している。循環型社会がすべての分野へと導入されていくことを望みたい。私が 生態系の保護に関心を持つようになったきっかけはゴミ問題だが、すべての生きも の、大気、水、土へと関心を広げ、今後も勉強していきたい。
 当支部、毎月定例の「古利根川の自然ふれあい観察会」に参加してくれる皆さんか ら、自然環境問題の重要性について生の声を聞くことができる。私たち春日部支部の 活動、埼玉県生態系保護協会の活動の重要性はますます増していくことになる。観察 会に子ども達が参加してくれることは、自然への理解を深め、自然環境に関心を持っ てくれることにつながると信じたい。また、観察会を通しての子ども達とのふれあい は大人が再教育される場面に出会うことだと思う。「自然とは」・・・・・もう一度 考えさせられた。「生態系保護」の意識に変えていく啓蒙活動の難しさもわかってき た。
 観察会を続けながら話し合おう、考えよう、実行しよう。なかまを募る。自然大好き人間の皆様、参加してください。遠くまで出かけないと自然は楽しめないよと思い込んでいる人へ・・・気持ち一つでどこでも自然は楽しめます。毎月第三日曜日、「古利根川の自然ふれあい観察会」への参加をお待ちしています


古利根川を全部歩いてみよう

               

土田貴子


 古利根川の豊な恵みによって育まれた自然を、かけがえのない財産として保全し、次の世代に引き継いでいこうと活動している団体および有志の方達が(下記参照)、自然観察を楽しみながら、まちづくりと自然環境の両立を広域的な観点から一緒に考えていこうと、古利根を全部広域自然公園にしてしまおう!をキヤッチフレーズに、「古利根川を全部あるいてみよう会」(仮称)を発足させました。
 当支部では、毎月第3日曜日の「古利根川自然ふれあい観察会」を主に、春日部流域の自然を守っていくための活動を続けていますが、併せて、この会の趣旨に賛同し、共に活動を広げ、展開していこうと考えています。
 葛西用水の流れは、久喜市と杉戸町の境で大落古利根川となって、宮代町、春日部市、松伏町、越谷市と流れ下り、古利根堰で中川につながります。(全長26,7km)
 4月6日(日)に行われた第1回の古利根川歩きでは、久喜駅に集合後、古利根川の起点(葛西橋)から川の流れをたどって、東武動物公園駅近くの古川橋までを歩きました。要所要所で、地形、歴史、昔の様子など興味深い説明をしていただきながら、川の様子、周辺の環境、春の野草を主に観察しました。

参加団体(上流より)
久喜市  (財)埼玉県生態系保護協会 久喜支部
杉戸町  (財)埼玉県生態系保護協会  会員有志
宮代町     宮代水と緑のネットワーク
春日部市 (財)埼玉県生態系保護協会  春日部支部
松伏町     松伏自然倶楽部(予定)
越谷市     埼玉県東部自然観察会



谷原親水広場

               

土田貴子


 昨年4月、春日部市谷原に、スポーツ・レクリエーションの振興拠点施設として建設された総合体育館「ウイング・ハット春日部」がオープンして、丸1年を迎えました。利用者も増え、春日部市のシンボルの一つとして注目を集めています。  その体育館に隣接する谷原親水広場(雨水調整池)をご存知でしょうか。この広場は、当支部の提案が一部採用され、昔からの春日部の植物や野鳥、昆虫などのことを考慮した整備がなされています。市民が憩える場所としてだけではなく、ビオトープ(地域の野生の生き物がくらす場所)としても計画され、施工されたこのような事業は、春日部市では初めてのことです。
 夏には早速、砂礫地のある草地「ヒバリの草原」でコチドリの抱卵を確認(残念ながら孵化まで至らず)。南の池では市によって植栽されたアサザが増殖し可憐な黄色い花を咲かせ、その上をチョウトンボの舞う姿が確認されました。また秋には、トノサマバッタが多数出現。バッタを追う子ども達の微笑ましい姿も見受けられました。12月には100羽ものカモ(カルガモ、コガモ、オナガガモ、マガモ)が数日間にわたり水辺を訪れました。国鳥であるキジ、天然記念物にも指定されている埼玉県の鳥シラコバトもこの広場が気に入ったようです。1年間で25種類もの野鳥を観察することができました。植物や昆虫などが多様であることが窺えます。
 しかし、整備中に法面保護のため吹き付けられた、外来種であるウシノケグサの大量繁茂による在来の植物への悪影響、土壌に含まれている鉄分の流出や、アオミドロの繁殖による水辺の景観および水質の悪化など、さまざまな問題が発生しています。なにより懸念されるのは、この広場の維持管理です。財政上、十分な管理予算を組むことが困難な現状をふまえ、当支部では、担当である市教育委員会体育課とパートナーシップを取りながら、市側の管理を補完する形で、年間を通しての観察記録、外来植物の除去作業、手作業が必要な部分の草刈、水辺のクリーン作業,自生植物の名札つけ、新たな植栽や移植作業等を行っていきたいと考えています。また、5月11日には教育委員会の後援のもと、多くの市民のみなさんにこの広場を知っていただくため、観察会を開催いたします。お誘い合わせの上、ふるってご参加ください。 。


いのち

大竹仁

白鳩の 幻影舞うは 花辛夷
春の暮 抜き差し忍ぶ 鷺の足
初蝶の 生命の重さ 知りにけり
蛙出で 濁世に鳴くは あわれなり
亀鳴くや 鳴かざるものも 鳴く現世

★平成14年度活動報告


☆定例古利根川自然ふれあい観察会
 毎月第3日曜日 11回(雨天により中止・1回)
☆中央公民館主催の観察会・講師
 4月13日  春の野草観察(中央公民館〜八幡神社)
 2月8日  野鳥観察(公園橋付近)
☆県下一斉ガンカモ調査参加
 1月12日  古利根川橋(4号バイパス)〜公園橋
☆学校教育2校・2回
 7月12日  大場小3年 昆虫
 10月3日  緑小5年  古利根川の自然(総合学習)
☆ボーイスカウト協力
 3月22日  毒草、薬草、食べられる野草の観察、他
☆市環境保全リーダー養成講座・講師
 10月27日  春日部市の自然環境(室内)
 11月10日  野外観察
☆古利根川一斉清掃参加
 3月23日  藤塚橋下流右岸(カワセミの森のゴミひろい)
☆本部イベント協力・古隅田川を歩く
 9月23日  下見の案内
 9月28日  当日参加
☆支部役員研修
 6月1日 〜2日  野鳥観察・古峰ヶ原
 1月25日  猛禽類の観察・渡良瀬遊水池